「スター・ウォーズ」の4DX演出家が、“日本初”の4DX専用映画への挑戦を語る

 2009年に商業化された「4DX」は、映画の新たな可能性として広がりつつある。その特徴は、座席が揺れる、震える、風が吹く、水しぶきが飛び散る、煙や霧、匂い(公称1000種類)、シャボン玉が出る、フラッシュ照明が焚かれるなど多岐に渡り、それはまるでテーマパークの体感型アトラクションのようだ。

 そして、日本初の4DX専用映画「ボクソール★ライドショー~恐怖の廃校脱出!~」が1月16日に公開される。主演はSeventeenの専属モデルとして、同性から圧倒的な支持を集める岡本夏美。監督を務めるのは、POVの第一人者であるホラー映画界の鬼才・白石晃士だ。番組ロケのために廃校を訪れた3人の新人女優が、“学校の番人”と遭遇し恐怖の逃走劇に巻き込まれていくというもの。

「動画配信」全盛の時代に、映画ができることは何か――。今回は「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」や「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」をはじめ、“美女とホラー”を組み合わせた本作の4DX演出を手がけた韓国のクリエイティブディレクター、チェ・ヨンスン(Young Choi)氏を直撃した。

Young Choi

チェ・ヨンスン(Young Choi)氏

――現在の4DX演出に至った、これまでの経緯を聞かせてください。

チェ・ヨンスン:広告製作からスタートし、ビジュアル・エフェクトのプロデューサーとして活動しました。その後、映画製作からの疲れもあり、1年間仕事を休んでいるなか、韓国で「ゼロ・グラビティ」の4DX映画が大ヒットし、生まれて初めて4DX映画を経験しました。映画の中に入って体感できる、新たなエンターテイメントのカタチ、と感心していたところ、たまたま偶然に4DXで働いていた友人からお誘いがあリましたので、今こうして働いております。

――過去にはどれくらいの作品を4DX化してきましたか?

チェ・ヨンスン:現職について2年目になりますが、毎年75本、今年まで150本の長編商業映画を担当しました。商業映画だけではなく、CMや予告編、オルタナティブ・コンテンツなども手掛けており、全部で累計300本くらいです。

――過去に手掛けた4DXで、過去一番満足している映画は?

チェ・ヨンスン:すべての作品に愛着を持っていますが、やはり4DXと相性がいいのはアクションです。そこで「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」では、作品のキャラクターを追っていく新しい企画を試みました。「アイアンマン・スペシャルバージョン」では、まるで自分がアイアンマンになったような体験が、「ハルク・スペシャルバージョン」では、ハルクの咆哮する瞬間のリアルな振動を表現するなど、ユニークな展開で印象深い作品でした。

――これは難しかった、苦労したという映画があればお教えください。

チェ・ヨンスン:「ニード・フォー・スピード」というレース映画です。4DXの動きや効果を組み立てるスタッフは個々の体験があればこそ、よりリアルな4DX表現をすることができます。しかし、映画に登場する4~5億超えの高価なスポーツカーを運転した経験は誰もありません。

 それにも関わらず、映画の製作陣より「カーレースに登場する車一つ一つの違いを説明してほしい」と、オーダーが来たので9回にかけて監修作業を行いました。9回という数字は、我々にとってとても大変で苦しかった過程の表れで、車一つ一つ、エンジンの音や動きの特性を勉強するなど、間接的なリサーチを重ね、監督や製作陣に深い感動を与えたことは、とても苦労した映画でもありましたが、記憶に残る、想い出が詰まった作業でした。

Young Choi――「4DX専用映画」という日本の製作陣の挑戦をどう受け止めますか?

チェ・ヨンスン:新しい挑戦は、クリエイティブ・ディレクターとしていつも嬉しいものです。普段の映画の作業より、もっと企画的で新しい試みのほうが、我々がすでに持っているものを試すことができ、常に楽しく興奮するものです。

――日本初の4DX専用映画「ボクソール★ライドショー」の演出コンセプトは?

チェ・ヨンスン:今までは長編映画を主に作業していたので、このような作品に出会ったことは特別な経験でした。特に、POVスタイルの映像を4DXで感じ取ってもらうための作業は、すごく楽しい経験でした。

 演出には4つのコンセプトがありました。1つ目は、POVの魅力をいかすべく、4DXの動きや動線をうまく組み合わせて、俳優たちとの距離感を自然と共感できるようにすることです。2つ目は、はっと驚かせる演出の意図を倍増させるため、4DX的なBack Tickler(背面座席が動く)やFace Water(前席から、顔の周辺に水が吹き付ける)などの効果を重ねました。そして、バランスとエキサイティングです。本作は日常を描いた作品ではなく、映像も整えてない荒さなど、追求する表現スタイルがある作品なので、そこに4DXのエンターテイメント(風やバブルなど)を溶け込ませて、4DXの魅力もふんだんに味わえるようにしました。

(※)POV……「Point of View Shot」の略で、日本では主観ショットと訳される。カメラと登場人物の視線を一致させるカメラワークを用いた撮影手法。

――4DXを知り尽くしたチェ・ヨンスンさんが映画を作ったらすごいことになると思うのですが、そういった野望はありますか?

チェ・ヨンスン:もちろん、野望はあります(笑)。今はすでに完成された映画に効果や動きを加えて製作していますが、車や飛行機など、主役がどんな形になるだろうと、最も4DXの魅力を発散できる演出をふんだんに入れ込んだ企画やカメラアングルなどをまとめて一つの映画にすることが最終目標です。

――韓国には、4DXの他にもスクリーンXのような上映形態がある。視聴方法が多様化するなか、未来の映画館、映画の楽しみ方はどう変化していくのか?

チェ・ヨンスン:2Dが進化して3Dに発展し、IMAXやVRが誕生しての4DX。さらに映画館に足を運ばなくても、VODサービスによって自宅で映像を楽しむことができる時代になりました。こうして視聴方法が多様化するなか、4DXは観客に映画の世界への没入感を与えることができますし、今後4DXが将来の映画業界を牽引していくリーダーになれるよう努力をし続けなければなりません。そうなっていくと、自然と観客らのニーズも増えて、映画館も増えて、観客動員数も増えて、映画業界全体の成長にもつながるのではないかという期待をしています。

(※)VOD……「Video On Demand」の略で、視聴者が好きなときに好きな動画作品を見ることができるもの。

――4DXが商業化されたのは2009年だが、もし過去の映画で4DXにしたらもっと面白くなると考える作品は?

チェ・ヨンスン:憧れの巨匠スタンリー・キューブリック監督の「2001年宇宙の旅」です。4DXとの相性がいい作品でもありますが、その静的な映画の美しさを4DXの表現で再誕生させてみたいです。そして、スタンリー監督といえば「シャイニング」。ジャック・ニコルソンの狂気に満ちたラストシーンをサプライズ効果をふんだんに取り入れて表現したいです。

【チェ・ヨンスン/Young Choi】
CJ 4DPLEX 4DX i-Studio・総括クリエイティブ・ディレクター。2015年現在、150本以上の長編商業映画を4DX化。映画のほか、CMや予告編、オルタナティブ・コンテンツなど含め、2年間で累計300本以上の作品を手がける

<取材・文/北村篤裕>

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