プロレスファンは“テレビ世代”と“オンライン世代”に分かれていく

プロレスファンは“テレビ世代”と“オンライン世代”に分かれていく WWEネットワーク(動画配信)がいよいよ日本でも来年1月5日からサービス開始となる。アメリカでWWEの動画配信ネットワークが“開局”したのは2014年2月で、ここ1年半ほどのあいだに世界200カ国以上で視聴可能になっていたが、ついに日本にもWWEの映像グローバリゼーションがやって来た。

 日本時間の1月5日(火)の朝はアメリカ時間では4日(月)の夜だから、新年1回めの“マンデーナイト・ロウ”の生中継(英語版のみ=字幕なし)がいきなり視聴できる。“ロウ”のライブ配信終了後には、これまでは日本では観ることができなかった“ロウ”のアフター番組も配信される。

 WWEネットワークのアメリカでのキャッチフレーズは“エブリウェア・オン・エニイ・デバイスEverywhere on Any Device”で、どんな機種=エニイ・デバイスからでも、あらゆるところ=エブリウェアでアクセスできる動画配信サービスである。WWEがひとつの独立したメディアになったと考えるとわかりやすい。

 じっさいにどんなデバイスが使えるのかといえば、パソコン、タブレット、スマートフォンをはじめとするモバイル機器、プレーステーション3、プレーステーション4、Xボックス360、XボックスONEといったゲーム機器、アップルTV、アアゾン・ファイヤーTVなどのスマートTV。インターネットで動画を観ることができる環境であれば基本的になんでもOKということになる。

 WWEネットワークが配信する動画番組は“マンデーナイト・ロウ”と“スマックウダウン”の最新番組とそのリラン(再放送)、“レッスルマニア”“サマースラム”“サバイバー・シリーズ”“ロイヤルランブル”をはじめとするPPV年間12イベント、WWEがプロデュースした過去のすべてのPPV番組(オン・デマンド方式)に加え、WWF/WWWF時代のクラシック番組、WCW/NWA、ECW、AWA、ダラスWCCWなど“消滅”した過去のプロレス団体(おもに70年代~90年代)のテレビ番組など4000時間以上の映像アーカイブ。

 “トータル・ディーバ”“マンデーナイト・ウォーWWE対WCW”といったオリジナル新番組、ファーム団体“NXT”の最新番組、ハイライト番組“アフター・バーン”“スーパースターズ”のブログラミングもWWEネットワークの番組編成に組み込まれている。

WWE

www.wwe.co.jpより

 WWEネットワークの配信サービス開始にともない、これまで日本国内で放映(J-SPORTS=スカパー、ケーブルなど)されていた“マンデーナイト・ロウ”“スマックダウン”のオンエア時間が変わる。

 英語版の“ロウ”(2時間版)の初回放送は毎週木曜午前10時(1月7日から)、“スマックダウン”のハイライト番組“アフターバーン”(英語版)の初回放送は毎週土曜夜10時(1月2日から)にそれぞれ変更。字幕版も“ロウ”(2時間版)の初回放送が毎週木曜夜10時30分(1月14日から)、“アフターバーン”の初回放送が毎週月曜夜6時30分(1月11日から)にそれぞれ変更となり、“NXT”はWWEネットワークのみでの配信となる。

 気になる受信契約料は、アメリカの月額9ドル99セント(約1218円)が日本円でそのままカウントされる。これまでCS(衛星放送)やネーブルTVが有料放映してきた月イチのPPV特番よりも価格的にはかなり割安で、この月額料金だけで“レッスルマニア”をはじめとするスーパーイベントがライブ配信(英語版のみ)で視聴できるというシステムはひじょうに画期的だ。

 WWEネットワーク――24時間動画配信サービス――の出現は、20世紀後半の“テレビ時代”から60数年間つづいてきたプロレスとテレビの関係、プロレスというジャンルとそのオーディエンスの関係を根底から変えてしまうかもしれない。

 このWWEネットワークの“開局”をひとつのきっかけとして、プロレスファンは“テレビ世代”と“オンライン世代”のふたつのジェネレーションにはっきりとすみ分けされることになるだろう。すでにアメリカのプロレスファンにとって、WWEはテレビで観るものではなくて、好きなときに好きなところから日常生活のなかにあるデバイスを使って“動画”で楽しむものになりつつある。

 日本のプロレス市場も、このWWEネットワークとその世界的なうねりの影響を受けないはずがない。日本国内のプロレス団体で現在、これと同様の動画配信サービスを実用化しているのは新日本プロレスの“新日本プロレスWORLD”だけだ。WWEネットワークの日本上陸によって、日本のプロレスも、日本のプロレスファンも大きな変化に直面している――。

斎藤文彦

斎藤文彦

文/斎藤文彦 イラスト/おはつ

※「フミ斎藤のプロレス講座」第65回

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