本場所直前!相撲の面白さが倍増する「5つの見るべきポイント」

 いよいよ1月10日から大相撲初場所がスタートする。

 読売新聞によると、2016年の地方巡業の開催日数は、貴乃花が横綱に昇進した1994年以来22年ぶりに年間70日に迫る勢いだという。
「相撲人気回復、地方巡業は年70日に迫る見通し」読売新聞 2016年1月1日

 相撲にハマる若い女性も増え、「スー女」なる言葉も誕生した。どうやら相撲人気の回復は本物らしい。

運動生理学の面から相撲を研究する明治大学教授の桑森真介氏

 しかしながら、この人気、力士のキャラ先行である面は否定できない。なんとなくノリで見たものの、巨体がぶつかり合うだけだと思っている人もいるのではなかろうか?

 そんなことはない。短時間で勝敗が決することが多い相撲だが、実は合理的かつ科学的な技術の攻防がある。それらを知れば、力士のキャラから好きになった人も格闘技通もにわかファンも相撲の楽しさが倍増するのは間違いない。

 というわけで、『世界初の相撲の技術の教科書』(ベースボール・マガジン社)の著者である明治大学教授の桑森真介氏に、相撲観戦がより楽しくなるポイントを語ってもらった。

相撲の流れ「5つのポイント」


 桑森教授によると、相撲の取り組みは大きく分けて次のように分類されるという。

一.立ち合い
二.押し込み
三.前さばき
四.中盤の攻防
五.つめ

 この「5つのポイント」それぞれの要点を見ていこう。

勝敗のほとんどが決まる「立ち合い」


 よく言われるように、相撲では立ち合いで勝負のほとんどが決まる。

低い姿勢を保ち下から上へ押すことで自分の足は土俵との摩擦が強くなり、逆に相手は弱くなる

「基本的に相撲は先手必勝です。だから、まず一歩、先に前に踏み込めるかどうかが重要になってきます。もう一つのポイントは顔が横に向かないということ。顔が横に逃げないで強く前に踏み込んでくると、『良い立ち合い』と言えると思います。そして、立ち合いの大前提となってくるのが、腰の高さです。腰はできるだけ低く維持する必要がある。しかしこれがなかなか難しい。腰を低く下ろす、つまり膝を深く曲げると、脚力を発揮しにくくなり、素早く前に出ることが難しくなる。日々相撲の稽古を積み重ねることによって、膝を90度近くに曲げた低い姿勢を維持しながら、前後左右に素早く動くことができるようになります」

 こうした低い姿勢の立ち合いの見本が、横綱・白鵬だという。

「190cm以上ある高身長にもかかわらず、白鵬は実に低い構えで当たっていく。先天的な身体能力もあるだろうが、稽古の成果でしょう」と桑森教授は評価する。

 足の踏み込み、顔の向き、腰の低さ。立ち合いではこの3点に注目してみよう。

立ち合いの成果を攻撃に繋げる「押し込み」


 膝を充分に曲げ、腰を落とし、低い姿勢で相手にぶつかる「立ち合い」の直後、攻撃に有利な態勢を確保するために行われるのが「押し込み」だ。取り組みの序盤で見られる突っ張りの応酬などもこの「押し込み」に含まれる。

⇒【写真】はコチラ http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1026632

一見単に押していたり突っ張っているだけに見えて、実は高度なバランス保持能力が必要とされる「押し」の局面

「四つ相撲を得意とする力士の場合でも、立ち合いの後、『おっつけ』(※脇に腕を差し入れてくる相手に対して、自分の肘を自分の脇に押し付けながら相手の肘外側に手をあてがい絞り上げる防御しつつ自身の攻めに繋げる技術)や『突っ張り』などで相手を押し込んでから、廻しを取って組み合うことが重要になってきます」

 一見、なんの変哲も無い押し合いに見えるものの、桑森教授によれば、この「押し」こそが相撲の技術で最も難易度が高いという。

「『押し』は簡単に見えて難しい。相手の廻しを取って前に出る『寄り』の場合は、相手を捕まえているので、相手は引いたり左右に動いたりすることが難しくなる。しかし、『押し』の場合は、相手の体を捕まえているわけではないので、相手は引いたり左右に動いたりすることが簡単にできる。相手を押そうとしたところを、叩き込まれたり、突き落とされたりすることが多いのも、『押し』が難しいことを表しています」

 水平方向にまっすぐ押そうとするとどうしても不安定になる。だから下から上に押し上げることを意識しなければならない。そのためには、低い姿勢で相手に飛び込む必要があるというわけだ。

「この時は両足を左右方向に揃えずに、左右のどちらか一方が前に出ているかどうかを見てください。よく相撲解説者が『ちょっと足が前にでなくて、足が揃ってしまいましたね』というのは、この足の位置のことを指しています」

 さらに桑森教授は「足の力」を強調する。

「力士には、腕相撲は弱いが相撲は強いと言うタイプが結構います。相撲は、腕の力ではなく、下半身の力をうまく上体につなげられるかどうかが重要。低い姿勢から、大腿四頭筋や大殿筋などの下半身の力を、上体を経由して、相手に伝えることが重要です」

 この技術的に難易度が高い「押し」を最も得意とする現役力士は、横綱・日馬富士とのこと。

「日馬富士はご存知のように体が小さい。腕の力もあるように見えない。しかし例えば彼が横綱になる前に把瑠都と対戦した一番は象徴的でした。巨体を誇る把瑠都に対しては通常、『どうやって横から崩すか』を考えるもの。しかし、日馬富士は把瑠都と真正面からぶつかり、まさに『電車道』で押し出しました。『押し』によほど自信があるのでしょう」

 後半『相撲の「つめ」で「うっちゃり」が減った理由は「力士の大型化」!?』ではいよいよ本格的な攻撃に移るための前さばきから中盤の攻防、さらに勝敗を決定づける最後の「つめ」の見るべきポイントを紹介しよう。

<取材・文/菅野完 写真/『世界初の相撲の技術の教科書』(ベースボール・マガジン社)収録DVDより>

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