「明日できることを今日しない」精神も必要――悩める35歳会社員へのアドバイス

【佐藤優のインテリジェンス人生相談】
“外務省のラスプーチン“と呼ばれた諜報のプロが、その経験をもとに、読者の悩みに答える!

◆今年こそは余裕を持って仕事をしたい
BB8(ペンネーム)・会社員・男性・35歳


 今年は、時間に追われるような仕事をしたくない。常に先回り先回りして、今できる仕事は今すぐ片づける。そういうふうに余裕を持って仕事をしたい。

今年こそは余裕を持って仕事をしたい その所信表明を書き初めにして部屋に貼っておりますが、35年間(幼少期はわかりませんが)、私は面倒くさいことをすべて後回しにして、ギリギリになってから手をつけることで何とか生き延びてきました。

 切羽詰まらないと動き出さない堕落した性格を変えたい! 佐藤さん、今年こそ変えるために、私は何をしたらいいでしょうか? いっそ催眠術でも受けて、性格を変えないと直らないでしょうか?

◆佐藤優の回答

 仕事のスタイルは、世代ごとに変わってきます。この点について、世代論の専門家がこのような指摘をしています。

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仕事の仕方も、それぞれ団塊世代と団塊ジュニア世代の前後で変わっていきます。

団塊世代までは仕事がブルーカラーとホワイトカラーに分かれました。たとえば、地方から集団就職で都会に出て工場で働くのがブルーカラーで、そのヒロインが若き日の吉永小百合でした。

やがて工場での労働は機械化・電子化され、肉体労働のブルーカラーはオペレーションをする社員に変わっていきました。(中略)そして1980年代、新人類世代の人たちが20代のころに男女雇用機会均等法が施行され、そこから総合職の女性社員が誕生します。

やがてバブル期を迎え、そのころから派遣社員やフリーターが登場。雇用形態が正社員、派遣社員、フリーターの3つになりました。

そういう意味で、バブル世代の時期に働き方にひとつの大きな山があり、その後の団塊ジュニア世代以降、経済状況は下っていったといえます。

若者が時代をリードし「若者文化」を興したのが団塊世代であり、バブル崩壊後の「右肩下がり」と就職氷河期を最初に経験したのが、その子どもたちである団塊ジュニア世代です。団塊ジュニア世代が就職するころから、フリーターや派遣社員か、増大したのです。

※『たった1冊で誰とでもうまく付き合える世代論の教科書』266頁)
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 政府は、アベノミクスが成果をあげていると宣伝していますが、発達した資本主義国では、経済の「右肩下がり」が普通の状態です。BB8さんは「常に先回り先回りして、今できる仕事は今すぐ片づける。そういうふうに余裕を持って仕事をしたい」とおっしゃいますが、そうしても「右肩下がり」は社会構造に由来するので、あなたの会社の収益が飛躍的に増大することはないと思います。

 あまり思い詰めて仕事をすると、息切れして折れてしまいます。むしろ「明日できることを今日しない」という精神で仕事に臨むべきと思います。気を利かせて、前もって仕事を済ませても、状況が変化してやり直しになることがよくあります。そういう無駄な仕事を省くためにも、ギリギリのタイミングまで待って、仕事をきちんと仕上げるのがプロの作法と思います。

 ここで重要なのは、自分の処理能力がどれくらいあるかを客観的、かつ正確に把握しておくことです。自分の力を過大評価することも、過小評価することもよくありません。そして、必要なタイミングで必要な仕事をするというスタイルを身につけることが重要と思います。

 催眠術を受けても性格は変わりません。むしろ、「自分はこういう性格だからそれを大きく変えることはできない」と腹を括って、その前提で、できる範囲の仕事を着実にこなすというスタイルを身につけたほうが、中長期的に得だと思います。頑張ってください。

【今回の教訓】
「明日できることを今日しない」精神も必要

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【佐藤優】
’60年生まれ。’85年に同志社大学大学院神学研究科を修了し、外務省入省。在英、在ロ大使館に勤務後、本省国際情報局分析第一課で主任分析官として活躍。’02年に背任容疑で逮捕。『国家の罠』『「ズルさ」のすすめ』『人生の極意』のなど著書多数。最新刊は『90分でわかる日本の危機

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ニッポン放送で大好評だった特別番組を書籍化。日本再生をテーマに、著者が下村博文文科相、山口那津男公明党代表など5人の専門家と語り尽くす。’15年刊

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