デジタル

ニコ動社長「ラスボスは民放連」  今後のビジョンを語る

―[ニコ動社長]―
杉本誠司

ニワンゴ社長・杉本誠司氏

NHK Eテレとの大型コラボを経て、新聞・出版をはじめ既存メディアに対して益々大きな存在感を放っているニコニコ動画。3年前にSPA!がスポンサードした『第5回ニコニコ映画祭』の頃は既存メディアから異端児扱されていたが、今やテレビ局からコラボの提案が多数きているという。ニワンゴの設立初期には、ニコニコ動画と既存メディアが共存できる未来は見えていたのだろうか? ニコニコ動画の運営元・ニワンゴ社長の杉本誠司氏に話を聞いた。 ←前編はこちら https://nikkan-spa.jp/104458 杉本: 最初はわからなかったですね。ネットの特性を生かしたコミュニティーサービスを実現する過程において、まず人が集まる環境として思いついたのが着メロです。着メロは聞くのが目的ではなく、鳴った瞬間に「あ、それ!」って周りに言われるのが嬉しいから買う。その感覚って、今のソーシャルサービスと同じですよね。それから、ひろゆきと出会ってコンテンツ作りより、コンテンツを作る環境をユーザーに与えることが1番合理的ということに気付いてニコ動が誕生。徐々に形は変わっていきましたが、やりたかったことは今と変わりません。 ――Eテレとのコラボも同じですか? 杉本: テレビはタレントパワーで視聴者を集めますが、NHKで1番強い番組は、『おはよう日本』らしいんです。日本各地へ取材に行って、地元の人にカメラを向けて「何を作ってるんですか?」「野菜です」というような地元自慢を聞く。すると、その人は自分がテレビに出ることを友達や親戚中に片っ端から電話して宣伝すると。その話を聞いて、ニコニコ動画のサービスも同じだなと(笑)。モノの親しまれ方は、そこに回帰していくような気がしますね。 ――今後のメディア業界において、ニコ動のあり方とは? 杉本: 近年ではテレビのプロデューサーやタレントにもコミットメントできるような機会が実現しています。ニコ動に参加するっていうことはテレビも巻き込めるし、テレビにも出られるかもしれないという状況です。これまでの社会だと実現できなかったことを、仮想であれ、ある程度実現していくことで、ユーザーは「なんか、いよいよすごい場所になってきた」となりますよね。それは僕らにとっても同じで、ユーザーと一緒にサービスを広げていく感覚があります。今後もNHKだけでなく民放ともこういった取り組みをしていきたいですし、テレビ以外のメディアも、もっと巻き込んでいきたいと思っています。 ――Eテレ編集長・篠原さんを“ラスボス”と表現していましたが、次なるラスボスは? 杉本: 民放連ですね(笑)。最近は民放連のなかでも、ネットメディアとどう付き合うか真面目に議論し始めていますよ。民放連の方々がニコ動に出て、その模様を流すのもいいのではないかと思います。 ――今後はNHKの事例をもとに、民放連とのコラボを増やしていくと?
杉本誠司

今後もニコ動の展開に注目

杉本: 震災時に、NHKがUstreamでの番組再配信など、先行してネットを活用しているのを見て、民放の方々は“やられた感”があったそうです。フジテレビ『新・週刊フジテレビ批評』の福原伸治さんや日本テレビ『iCon』の土屋敏男さんとは仲良くさせていただいていますが、2人とも異端児プロデューサー的な見られ方ですよね(笑)。彼らがやっていることは異端児だからこそのイレギュラーな形だと思われてしまうはもったいないなと。今回のEテレとのコラボは良いケース素材になったと思うので、これからは次世代のプロデューサーと新しい取り組みをしていきたいと思っています。 取材・文/吉岡俊 撮影/林健太
―[ニコ動社長]―
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