快適な喫煙スペースが作品論を投げかけ合う場に――映画撮影所の分煙事情

 職場、飲食店、公共の場所など、さまざまな場所で進む分煙対策だが、愛煙家の多いイメージのある業界――たとえば映画業界の分煙事情とはどういったものだろうか。

「一昔前までは、撮影ステージ内に灰皿を持ち込み、紫煙を燻らせながら撮影ということもありましたが、最近は、ステージ内は全面禁煙で、灰皿等の喫煙スペースはすべて野外に置くなどの分煙を徹底してきました」(東宝スタジオ)

映画撮影所の分煙事情

リニューアル後の東宝撮影所の喫煙スペース

 ただ、小さな灰皿を多くの喫煙者が所狭しと取り囲む様なケースは、喫煙者のみならず、非喫煙者にとってもいい印象を与えない。特に、長い待ち時間に落ち着いて台本を読むことなどの多い役者にとって、快適に一服する空間は必要不可欠といえた。

 そんな撮影所の喫煙スペースの状況について一家言を持つのが、『クローズZERO』、『ヤッターマン』など、80本以上もの映画を世に送り出してきた映画監督の三池崇史氏。大手映画会社の日活、東宝と協力し、全国の公共施設、商業施設、飲食店等における喫煙スペースについて多くの知見を持つJTのコンサルティングのもと、撮影所の喫煙スペースを整備。結果、オープンカフェを思わせるような、オシャレな喫煙スペースが完成した。

「大切な活動の場をより快適に、嫌煙者にも愛煙者にも愛される場所をイメージした、これもまた作品のひとつです。理想的な分煙の形を愛煙者側からも発信することが必要な時代になったのではないでしょうか」(三池崇史監督のコメント)

 名作が生まれる陰に名撮影所の存在あり。それまで、屋根と灰皿、数脚の椅子が置かれただけの喫煙スペースは、リニューアル後、より広く、オシャレな憩いの場へと変貌を遂げたのだ。

「結果として撮影所内の喫煙マナーも向上。撮影の待ち時間に演技についての意見や作品論を投げかけあう姿を見ることも多くなったと感じております」(東宝スタジオ)

 作中の喫煙シーンについて賛否両論が出るこのご時世だが、現場の喫煙環境・マナーは、撮影スタッフ、そして役者たちの自助努力によって向上していたのだ。 <取材・文/日刊SPA!取材班>

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