NBCがプロレス特番をシリーズ化――フミ斎藤のプロレス講座別冊 WWEヒストリー第39回

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 “レッスルマニア”の成功は、アメリカ3大ネットワーク(当時)のひとつ、NBCの扉をこじ開けた。企画コンセプトは“プロレス番組が30年ぶりにネットワークTVに登場”。仕掛け人は、超人気コメディー番組“サタデーナイト・ライブ”のエグゼクティブ・プロデューサーでNBC役員のディック・エバーソルという人物だった。

NBCがプロレス特番をシリーズ化

米3大ネットワーク局のひとつ、NBCとWWEが共同プロデュースしたプロレス特番「サタデーナイト・メインイベント」。プロレスがネットワークTV(地上波)の電波に登場するのはじつに30年ぶりのことだった。

 新番組のタイトルは“サタデーナイト・メインイベント”。プロレス・ブームに目をつけたエバーソル・プロデューサーは、“サタデーナイト・ライブ”の姉妹ショーとして同番組の時間ワクに隔月ペースでプロレス特番を放映することを思いついた。

 “サタデーナイト・ライブ”は毎週土曜夜11時30分オンエアの生放送だったが、毎月4週めがリピート放送という変則シフトになっていたため、この1時間のスペースにWWEのプロレス特番を“挿入”するという野心的なプランだった。

 NBCの大物プロデューサーのエバーソルとその夫人で女優のスーザン・セント・ジェームスのエバーソル夫妻とビンスとリンダのマクマホン夫妻は、もともとニューヨークの社交界の“セレブリティー友だち”だったためこの企画はすぐに具体化した。

 “レッスルマニア”からわずか1カ月の準備期間でオンエアにこぎつけた“サタデーナイト・メインイベント”第1回放映分(1985年5月11日=ニューヨークのナッソー・コロシアムで録画収録)は、“サタデーナイト・ライブ”の通常の平均視聴率を上回る8.8パーセントの高視聴率をスコアした。

 エバーソル・プロデューサーにWWEとの合体を決意させたいちばん大きな理由は、それまで2度にわたり10パーセント強の視聴率をかせいだMTV製作のプロレス特番の存在だった。いわゆる“民放畑”のエバーソルは「WWEのような人気ソフトをMTV(ケーブルTV)ごときに牛耳らせておくことはない」と考えたのだった。

 エバーソル・プロデューサーがひねり出した“プロレス番組が30年ぶりにネットワークTVに登場”というコンセプトは、テレビ業界サイドがWWEブームをひとつの社会現象ととらえたことを証明していた。

 プロレス番組が最後にネットワーク系地上波民放チャンネルで全米中継されたのは1955年のことだがら、白黒テレビ時代のプロレス・ブームからじつに30年という歳月が経過していた。

NBCがプロレス特番をシリーズ化

NBC特番「サタデーナイト・メインイベント」の新聞広告。一般紙の紙面用に制作された広告は、やっぱり“ハルク・ホーガンの番組”であることがすぐにわかるデザインなのだ。

 “サタデーナイト・メインイベント”第1回放映分のメインイベントは、ハルク・ホーガン対“カウボーイ”ボブ・オートンのWWE世界タイトルマッチで、ホーガンのセコンドとしてミスターTがゲスト出演した。これはNBCサイドが用意した一種の“保険”だった。

 ホーガン対テリー・ファンクのタイトルマッチをメインにラインナップした“サタデーナイト・メインイベント”(1986年1月14日放映分)は、同時間帯放映の“サタデーナイト・ライブ”のそれまでの最高記録を塗り替える10.4パーセントの視聴率を記録した。

 NBCはプロレス特番のシリーズ化を決定し、WWEとNBCの共同プロデュースによる“サタデーナイト・メインイベント”は、1985年5月から1991年4月の最終回(1991年4月27日放映分)までの約6年間で“全29話”が製作された。

 “サタデーナイト・メインイベント”の高視聴率は、アメリカの一般視聴者層のあいだにプロレス=イコール=WWEというコンセンサスをつくり出した。

 WWEはNBC特番と同時進行で、CBSとの共同プロデュースでアニメーション番組“ハルク・ホーガンのロックン・レスリング”(毎週土曜朝オンエア)を製作した。アニメの主人公はホーガン、ロディ・パイパー、アンドレ・ザ・ジャイアント、ジミー・スヌーカらをはじめとするWWEスーパースターズ。

 ホーガンはいよいよアメリカを代表するポップ・ヒーローとしての道を歩みはじめたのだった。(つづく)

斎藤文彦

斎藤文彦

※この連載は月~金で毎日更新されます

文/斎藤文彦 イラスト/おはつ

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