“レッスルマニア”が狂わせたキッド&スミスの運命――フミ斎藤のプロレス講座別冊 WWEヒストリー第58回

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 “レッスルマニア2”シカゴ大会のメインイベントは、ダイナマイト・キッド&デイビーボーイ・スミスのブリティッシュ・ブルドッグスがグレッグ・バレンタイン&ブルータス・ビーフケーキの保持するWWE世界タッグ王座に挑戦したタイトルマッチだった(1986年4月7日=イリノイ州シカゴ、ローズモント・ホライズン)。

写真はWWEオフィシャル・ビデオのジャケットより

キッド&スミスのブリティッシュ・ブルドッグスは“レッスルマニア2”シカゴ版のメインイベントでグレッグ・バレンタイン&ブルータス・ビーフケーキが保持するWWE世界タッグ王座に挑戦したが…。(写真はWWEオフィシャル・ビデオのジャケットより)

 バレンタイン&ビーフケーキは1985年8月、フィラデルフィアでバリー・ウインダム&マイク・ロトンドのUSエキスプレスを下して同王座を獲得し、その後、8カ月間にわたりチャンピオンベルトをキープしていた。実力派のバレンタインが典型的なキャラクター先行型のビーフケーキのベビーシッター役になっていた。

 キッド&スミスのB・ブルドッグスのセコンドには専属マネジャーのルー・アルバーノとゲスト・セレブリティーのオジー・オズボーンがついた。この試合がシカゴ大会のメインにラインナップされた理由はどうやら大物ロックシンガー、“悪魔の使者”オズボーンの登場によるところが大きかった。

 前年の“レッスルマニア”第1回大会では、アルバーノがロック・シンガーのシンディ・ローパーをプロレスのリングにひっぱり上げて話題を呼んだが、この大会ではローパーよりもはるかにハードコアなイメージのオズボーンをブッキングした。アルバーノは、音楽シーンと独自のコネクションを持っていた。

 このときキッドはすでに腰と首に故障を抱えていた。年齢はまだ27歳だったが、12年におよぶハード・バンプのくり返しによるダメージの蓄積がそれほど大きくないキッドの体を確実に蝕んでいた。

 キッドとバレンタイン、キッドとビーフケーキ、スミスとバレンタイン、スミスとビーフケーキというリング上のひとつひとつのからみはどれもミスマッチの連続だった。キッドとスミスのスピーディーな動きがバレンタンのスローテンポとかみ合わず、そこにビーフケーキが立っていると試合そのもののリズムにズレが生じた。

 1980年代前半、ボブ・バックランドとの長編ドラマでマディソン・スクウェア・ガーデン定期戦を何度もソールドアウトにしたビッグネームのバレンタインは、ニューカマーのキッドとスミスをどこか格下扱いした。ビーフケーキは、ジャンピング式のスナップメア(首投げ)を狙って飛び上がったスミスを意地悪く後頭部からキャンバスに落とした。

 キッドはキッドらしいカミソリのようなシャープな動きをなかなかディスプレーすることができず、スミスもまた基本的な投げ技の失敗、ミスムーブをくり返した。

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