畑中氏が目撃した職員の犯罪行為はそれだけにとどまらない。 「過去には別の職員が入居者の現金や高級腕時計を盗む事件がありましたが、お金に困って……と理解できないこともない。もちろんあってはならないことですが、それ以上に深刻なのは虐待です」 　入居者にイラつき叩いてしまったり、暴言を浴びせることも珍しくはないと畑中氏は告白する。 「認知症の入居者の中には介護中に暴れる人もいますので、押さえつけることもあります。どこまでが介護でどこからが虐待にあたるかの線引きが難しいのが問題を複雑化しています。感情をコントロールするように心がけていますが、こんな環境じゃ自分もいつか加害者になってしまうのではと不安ですよ」 　さらなるに追い打ちをかけるのが昨年実施の介護報酬の引き下げ。現場の士気は低下する一方だ。 「ウチでは現時点での給料引き下げは否定されましたが、それもいつまでのことやら。以前、給料の安さを理由に風俗とのWワークしていた女性職員がいたのですが、今後はそんな人はさらに増えるかもしれませんね……」 ― ド底辺化する［介護現場］の闇 ―