北朝鮮ツアーが脱力系になっている!? キャッチフレーズは「超平和、超安全、超超楽しい朝鮮」

 近年、北朝鮮に行く日本人観光客が増えている。

 日本政府は北朝鮮への渡航自粛を要請しているため、正確な人数を把握することは困難だが、ある旅行会社によると「数年前までは年間10人程度だったのが、昨年は100人ほどになった」という。旅行記をSNSに書いたり、平壌で結婚式を挙げた日本人カップルなど、カジュアルに訪朝する人が増えているのは事実だ。

 政治問題は相変わらず停滞している中、なぜ日本人観光客が増加しているのか?

北朝鮮ツアーが脱力系になっている

日本からの訪朝者が急増中だという

「インターネット上で北朝鮮情報がかなりオープンになってきたこと、北朝鮮が世界向けの観光マーケティングを考え始めたという点が大きい。日本人への観光ビザも簡単に降りるし、特に北朝鮮の鉄道を走る旧共産圏製の古い列車は鉄道オタクたちにとっては宝の山とされているなど、クロージングしやすくなったという点が挙げられます」(事情通)

 なかでも、企画の個性が際立っているのが北京発着の朝鮮旅行を取り扱う「ジェイエスツアーズ」(http://js-tours.jp/)である。

北朝鮮観光としては異色の雰囲気が漂うジェイエスツアーズのHP

「超平和、超安全、超超楽しい朝鮮」という、逆に不安を覚えるキャッチフレーズが載った同社HPには、冗談なのか本気なのかわからない、斬新な訪朝企画が並ぶ。

 切手収集マニア向けの「切手収集家さん、いらっしゃい!」、その他北朝鮮カラオケ216曲を歌うだけのツアーからジャンケンで負けた人がその場の食事代を払うという「ジャンケンツアー」など。特に6日間の列車旅「鉄オタだらけの6日間~マルヨだよ~」は、鉄オタからの問い合わせが殺到中だという。

⇒【写真】はコチラ http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1073778

「鉄オタ最後の聖地」とも呼ばれる北朝鮮。鉄オタ向けのツアーも開催

2015年にオープンした回転式寄せなべ店。もちろん日本人も入店可能

 自身も訪朝経験のある、創業者の小島健康氏は「韓国と同じ民族でありながら独自の社会主義国家を築き、未だ閉ざされた国家である北朝鮮に対し、地道な人的交流を促進し、こじれている日朝関係の解決の糸口を見つけたい」と話す。

 とはいえツアーの名称と説明文からは、核実験やミサイル問題の緊張感とはかけ離れた奇妙な脱力感をおぼえる。企画を担当しているのは、長年日本人観光客に随行してきた専務取締役の朴成春氏。ユルさの理由を朴氏は次のように語る。

「とにかく、北朝鮮という国は行ってみなければわからない。日本での恐ろしげな報道とはまったく違う世界が広がっているのも事実です。住人には善人もいれば悪人もいる、真面目な人もいればいい加減な人も当然いる。人間味にあふれたフツーの人々です。私も、仲良くなった人民から『倍にして返すから金貸してくれ』って言われて貸しましたけどね。『今度会ったら食事代全部出すから、おごってくれ』って言われておごりましたけどね(笑)。どうやって倍にするんだと。偶然会ったのにどうやって再会するんだよ!と。まあそういう感じで、肩肘張らない点を重視した企画立案をしてます」

こんな珍しい光景も観覧可能

美女に会いにいくだけのツアーも!?

 イメージギャップが最もある国だと言われる北朝鮮。たとえば軍事境界線ツアーは韓国側から入る場合は服装規制も厳しく、緊急時には自己責任での対応を求める誓約書を書かされるが、北朝鮮側からは比較的緩いことはあまり知られていない。

「私なんてTシャツデニムのハーフパンツ姿で北朝鮮側から入りましたけど、兵士には鼻で笑われただけでお咎めなし。板門店の売店で売ってる韓国製コーラを北朝鮮兵士に差し入れ、『朴槿恵同志がお送り下さったありがたいコーラで乾杯!』と言うと銃撃されるどころか、爆笑の渦でした」(朴氏)
(※SPA!が上記の行動を推奨するわけではありません。トラブルが発生した場合は国際問題となる上、海外旅行保険の適用外となる可能性もあるため、お控えください)

 そんな朴氏が推すのが、前代未聞の北朝鮮カジノツアー「勝負師伝説」。説明文には「世界遺産もグルメもモニュメントにも興味がなく、ただただ、ひりつくようなゲームがしたい人のためのツアーです」とある。

 観光は初回に金日成主席・金正日総書記銅像に行くのみで、あとは羊角島ホテルの地下にあるカジノでひたすらゲームをするだけの異色のツアーである。バカラ、ブラックジャック、スロットマシン等があり、ゲームはマカオから派遣されてきた中国人ディーラーが担当する。

「案内員にとっては観光案内をしなくても良いし、ホテルから空港への送迎のみで非常にラクですね」(朴氏)

 年末にこのカジノツアーに参加した日本人観光客に、その様子を聞いた。

「20坪くらいのとても小さいカジノ場で、ブラックジャックしているのが私一人だけだったので寂しかったですね。ディーラーの人に取り囲まれてプレイする感じで落ち着かず、集中できなかったです。しかも私の時は、よほど暇だったのか4人くらいのディーラーに囲まれてプレイしてました。最終的には2万円負けました」

 楽しいのかどうか微妙だが、むしろそこにハマる人は多く、最も人気があるのは3日間の弾丸ツアー「千里馬速度ツアー」、「そうだ!平壌へ行こう」。

 実質1日だけの観光であるが、多忙なサラリーマンに人気だという。4月末に開催される、すべてのプランの要素を盛り込んだツアーにもすでに参加者が10名ほど決まっている。

 政府間交渉は途絶える一方で、皮肉にも人的交流は活発化している昨今。中国や韓国旅行に比べてはるかに値が張るが、この機会に覗きに行ってみるのも良いかもしれない。 〈取材・文/日刊SPA!取材班 写真/ジェイエスツアーズ〉

朝鮮相撲大会などレアな催し物をゆるりと観覧できるらしい

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