10年前に180万円の高級腕時計を盗まれた私は何を思ったか【コラムニスト原田まりる】

 任天堂から出たスマホゲームの「Miitomo」を先日始めてみた。Miitomoは自分のそっくりさんのMiiが投げかける「好きな食べ物はなんですか?」など質問に対して答え、自分にまつわるデータを覚えさせるというシステムのゲームだが、先日Miiから投げられたある質問に、私はショックな出来事を思い出した。その質問は「今まで失ったモノの内、また見つけたいモノはなんですか?」というもの。私はその一言に、180万の腕時計を無くしてしまったことを思い出した。

10年前に180万円の高級腕時計を盗まれた私は何を思ったか【コラムニスト原田まりる】

自分とそっくりに作ったMiiはこんな風に日々、さまざまな質問をしてくる

20歳の小娘が恋人にねだって買ってもらった高級腕時計


 180万円もの高額な品を失くしたわけだが、そもそもなんでそんな大金を手元に持っていたのか?という疑問を持たれると思うので、順を追って説明するとこうである。

 ことの発端は20歳過ぎのころ。当時付き合っていた彼氏がものすごく羽振りがよく、クリスマスプレゼントにと腕時計を買ってくれることになったのだ(不倫ではないよ)。

 私は、物の価値が全くわからない小娘だったので「どこの腕時計がいい?」と聞かれ、デザインが変わっていてお洒落だなというだけで「フランクミュラーの腕時計がいい」と言った。いくら羽振りがいい男とはいえ、20歳そこそこの女にフランクミュラーの時計がほしい、とねだられるのは気分がいいものではないだろう。しかし、当時は若さゆえの無敵感、傍若無人をフル発揮していたので、一度フランクミュラーがいいと思えばもうそれ以外考えられない! という状態に陥っていた。他の人が持っていないようなものが欲しいという、安直な考えである。

 クリスマスの日に銀座にあるフランクミュラー直営店に出向き、私は好きな時計を選べることになった。ドアマンに扉を開けてもらった先には高い天井が広がり、壁に埋め込まれたガラスケースには見目麗しい文字盤に、独特のフォントの数字が並んだフランクミュラーの時計が飾られていた。

 0がいくつも並ぶ金額、フレームや文字盤にギラギラと散りばめられたダイアモンドを見るうちに私の感覚は麻痺していった。シンプルなデザインでは物足りないような気がしてきて、フレームにダイアモンドが散りばめられた、自分には不釣り合いすぎる時計が欲しくなったのだ。金額を見てさすがに彼も「はあ」と呆れていたが、最終的にその時計と、彼の母親へのプレゼント用にもう一本購入して店を出た。

 私は嬉しくて、その日から肌身離さず腕時計をつけて生活していた。しかし、私は物の価値がわかっていない。自分で稼いだお金でもなんでもなく、所詮は棚ぼたで手に入れた時計である。買ってくれた恋人には悪いが、本質的には時計に「ありがたみ」を感じていなかったのだ。しばらくすると時計をすることに飽きて、机の上に置きっ放しにしていた。悪い意味で執着心を持てずに、乱雑に家の中に置きっぱなしにした。

次ページあっけなく消えてしまった腕時計の行方

私の体を鞭打つ言葉

突如、現れた哲学アイドル!「原田まりるの哲学カフェ」を主催する著者が放つ、抱腹絶倒の超自伝的「哲学の教え」

“結婚したいけど相手なし時代” 理想の相手と巡り会うための「見た目や中身以上に大切なこと」とは?

女性は1人目の相手でゴールインもあるんだって!
sponsored
 いずれは結婚しようと考える未婚者の割合が男性85.7%、女性89.3%と高水準だったにもかかわらず、異性の交際相手をもたない未婚者が男性69.8%、…

連載

ばくち打ち/森巣博
番外編その3:「負け逃げ」の研究(22)
メンズファッションバイヤーMB
最速で「中年男性をおしゃれに見せる」魔法のアイテムとは?【プロが断言】
山田ゴメス
最近、激増している「副業・AV女優」の本音に迫る!
オヤ充のススメ/木村和久
キャバクラか風俗か――。人生最大の問題に終止符を
フミ斎藤のプロレス講座/斎藤文彦
近未来の“超大物”ハンターがデビュー ――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第190回(1995年)
英語力ゼロの46歳バツイチおじさんが挑む「世界一周 花嫁探しの旅
「パソコンもカメラも買い直すしかない」――46歳のバツイチおじさんはインドのシリコンバレーを目指した
原田まりる
尾崎豊で意気投合し、タクシー代がタダになった夜
大川弘一の「俺から目線」
こんな自由にお前は出会ったことがあるか――連続投資小説「おかねのかみさま」
プロギャンブラー・のぶき「人生の賭け方」
おっぱいポロリのある地上波番組『ケンコバのバコバコテレビ』に出演して感じたこと
爪切男のタクシー×ハンター
虹の根本にある素敵なもの
フモフモ編集長の今から始める2020年東京五輪“観戦穴場競技”探訪
東京五輪でチケットなしでも“絶対生観戦できる鉄板競技”とは?
元SKE48/SDN48・手束真知子の「フリーランスアイドル論」
アイドルは私生活まで“キラキラ”してないといけないの!? 現実とのギャップに困惑
おじさんメモリアル/鈴木涼美
「顔じゃなくて知性で女を選ぶ」男の無知性
僕が旅に出る理由 in India/小橋賢児
北インド秘境で「宇宙に住んでいる」と実感した——小橋賢児・僕が旅に出る理由【最終回】

投稿受付中

バカはサイレンで泣く 投稿受付中
佐藤優の人生相談 投稿受付中