仕事

その働き方は幸せですか?日本人の勤勉というビョーキ

私たちをコキ使うのは、客としての私たち

 だったら、給料が上がらない代わりに、ゆったりと休める社会に変えていく道は考えられないものか。  ところが、これまた厄介なことに日本では「休まないこと」を美徳とする価値観が根強い。著者は、そこにこそ労働者の不幸があるのだと語る。  定休日が減り、営業時間が長くなった百貨店。24時間営業が当たり前のコンビニ。一見ユーザーフレンドリーに思える過剰サービス。  しかし、そうした消費者の論理に屈した会社の犠牲となるのは、他ならぬ労働者である。客としての私たちが便利になるほど、労働者としての私たちはヘトヘトになるのだ。

24時間、誰かが働いている日本。ドイツの閉店法のように(だいぶ緩くなったとはいえ)日曜や深夜の営業を禁じれば、消費者は不便でも労働者は休めるのだが…

会社が消費者に迎合するとき、労働者の不幸への転落が始まるのです。自分が働くときは消費者に迎合して働いているのだから、自分が消費者になるときには消費者として厳しい要求をするというのでは、不幸の連鎖となります。 (中略)  労働者としての立場でも、ついつい自分たちの目先の給料などのために、「お客様は神様」という姿勢になってしまうことがあります。  客が喜ぶところをみたいと考えるのは悪いことではありません。売り上げがあっての会社だし、自分たちの雇用や給料だ、と考えることを責めることはできません。  しかし、この部分の意識が改革されなければ、労働者は仕事への隷属という不幸から、なかなか脱却できないのです。 (第6章 休まない労働者に幸福はない)  平たく言えば、“社畜”同士が、交互に憂さ晴らしをし合う。すると、“ハラスメントにどれだけ耐えられたかの競争”が仕事になってしまう。そんな最悪なサイクルが生まれかねない。1億総クレーマーと化している現状からして、すでに負のスパイラルに突入しているとも言えそうだが……。  ともあれ、“世界一貧しい大統領”の目に、いまの日本はどのように映っただろう。 <TEXT/比嘉静六>
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勤勉は美徳か? 幸福に働き、生きるヒント

大きなストレスを抱えている現代日本の労働者が幸福になる道はないのか

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