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プリンスの急死に世界が号泣。どこがそんなに凄いのか?

3.「Raspberry Beret」 ボーカルラインは土台のよう http://www.youtube.com/watch?v=g60vme5_-e0  「When Doves Cry」は二音だったが、こちらはほぼ三音。  ここでメロディがしているのは、ドレミ、ミレドを行ったり来たりしている程度のもの。そうした主旋律の計画的な乏しさを補うのが、バラエティに富んだカウンターメロディの数々。  というよりも、ボーカルラインこそが土台であり、低音から高音に至るまでの各セクションがそこから発展させた別のうたを進行させているように聴こえてくるから面白い。コードだけ取れば、ギターひとつで弾き語りできそうに思えるのだが、このポップソングは紛れもなくポリフォニーである。 ※ポリフォニー=各声部が独立した旋律とリズムを持つ多声様式の音楽 4.「Sexy M.F.」 たった2秒の旋律<U sexy motherfucker>  92年のアルバム『Love Symbol Album』からのシングルカット。  “たしなみ程度にジャズヒップホップをやってみた”といった具合だが、フレーズらしい歌のフレーズといえば、<U sexy motherfucker>の部分のみ。  耳元にまとわりつく蚊のようなハウリング音に、「あらゆる楽器はドラムだと思え」と断じたジェームス・ブラウンの作法に則ったバンド演奏。その中心を射抜くのが、たった2秒の<U sexy motherfucker>。しかし、ここがなければポップソングとして成立しない。プリンスが、ソングライティングの達人であることを示す一曲だろう。  もちろん、これだけでプリンスの偉大さがカバーできるわけではない。しかしながら、複雑に掛け合わされた音楽なのに、これほどまで多くの人に親しまれたのは、ライトなリスナーをもとらえる分かりやすさがあったからだろう。  しかし、分かりやすさこそ、最も解明しづらい要素であることは、言うまでもない。プリンスは、種明かしをしないまま、逝った。 <TEXT/音楽批評・石黒隆之>
音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。Twitter: @TakayukiIshigu4
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