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外国人観光客は「嫌?」「受け入れる?」――日本人も昔は海外で同じことをしていたという歴史

日本人も昔は同じことをしていた

外国人観光客

※写真はイメージです

 宮崎駿さんが言っていました――ジブリ美術館に中国人がやって来てここからここまでと、お土産を爆買いして、スタッフが顔をしかめているが、日本人も昔は海外で同じことをしていたんだと。  バブルの時代、1980年代までは、欧米の有名なブランドショップで日本人しかいない風景を、僕は何度も見ました。そして、店員のにこやかな笑顔の下にある、侮蔑した雰囲気も。  でも、きっと、ヨーロッパでも、田舎成金が都会のショップで、「ここからここまで」と、センスのかけらもない爆買いしていた時期があったはずです。それが、やがて、日本人になり、中国人になったのです。  今、ニューヨークやロンドンに行って、出会うアジア人は、みんな中国人か韓国人です。本当に日本人は少なくなりました。  ヨーロッパでは、昔「最近は日本人が多くて嫌になる」なんてことを言ってた人がいて、「いや、これも時代の流れなんだから、どううまくつきあうかじゃないか」と言ってた人がいたのです。  問題は、「嫌になる」という人が多いのか少ないのか、だと思います。  で、日本人も同じだと思うのです。「最近は中国人が多くて本当に嫌になる」と、某マンガ家さんの最近の発言のように言ってしまうのか、「いや、2020年に向けて、まだまだ増えていくのだから、どううまくつきあうか、考えよう」と言うかの違いだと思うのです。  僕は昔、嬉々としてニューヨークとかロンドンを歩き回りました。あの時、「日本人は来すぎなんだよ。来るなよ。ふざけるな」と言われていたら、その国を大嫌いになっていたでしょう。  もちろん、いくつかの街で、あきらかな差別的な扱いを受けたことはあります。予約をしたレストランで、窓側の席が空いているのにトイレに近いテーブルに案内されたり、公園を歩いていて後ろから何回も小石を投げられたり、いろんな嫌な思いをしました。  けれど、総体的には、受け入れようと努力してくれた人が多かったと感じられた国を好きになったのです。  日本もまた、外国人観光客にとって「大嫌いな国」になるか「大好きな国」になるか、ここ数年が勝負の重要な時期が来ているんだと思います。 ●「ドン・キホーテのピアス」は週刊SPA!にて連載中。連載をまとめた最新刊『この世界はあなたが思うよりはるかに広い』も好評発売中
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