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「疑われてるみたいで気分が悪いよ」――46歳のバツイチおじさんはデート中に怒りをあらわにした〈第22話〉

翌朝、一応何があっても良いように入念にシャワーを浴びた。一応。 12時過ぎにゲストハウスを出ると、1$のバイクタクシーを拾い、GoogleMapを見ながら指示された住所を探した。 10分ほどで住所の場所に到着。そこには若き建築家が住む雑居ビルのような変わった形の建物があった。剥き出しのコンクリート。大きな深緑の門。なんか、なんか変わってる……。 「女の子がこんな変わったマンションに一人暮らしって……」 そういえば、エマニュエル夫人も大金持ちだった。 もしかしてビーナスもすげー金持ちなのかな? お金落ちのお嬢さまがその有り余る時間を愉しむために、俺を誘った……? ♪~メロディー・ダムール・シャンテ・ル・コー・デマニエル~ キ・バ・コー・ア・コー・ペルドゥー またもや脳内iTunesに「エマニュエル夫人のテーマ」の曲がかかった。 その淫靡なメロディーに少し興奮し、高揚した。 その一方で、異国で見知らぬ家に入ることに少し警戒しながら、恐る恐る入り口に近づいた。 63#のブザーを鳴らす。「ブーブー」低音でブザーは鳴り響いた。 しかし、2分たっても誰もでてこない。 もう一度鳴らしてみた。「ブーブー」。反応がない。 「もしかして馬見新ちゃんの考えたドッキリ?」 イタズラじゃないか周りをキョロキョロ見渡した。 ビーナス「ごめん、ちょっと待って! 今行く」 イヤホン越しに若い女性の声が聞こえてきた。 クリアな英語の発音。透き通った声。ビーナスの声だ。 入り口でしばし待っていると「グォーン」という大きな音を立て、深緑の門が開いた。 ビーナス「3階に私の部屋があるの。ついて来て」 階段を上がり、4つのドアがある広くて白い部屋に入った。 奥に1人がけのソファふたつとテーブル。その後ろにミシンとマネキンが置いてあった。 俺「へぇ~いいとこ住んでるんだね」

ビーナスのマンションの一室 奥にミシンとソファーがある

ラフな格好で出迎えてくれたビーナス

ビーナス「こっちが私の部屋よ」 そう言って部屋の中へ俺を招き入れた。 女の子の一人暮らしの部屋の割には煩雑に物が置かれている。 靴は10足以上あり、ベッドの上は乱れていた。 ここでするのか……。 この乱れたベッドの上で、どんなプライベートレッスンを……。 俺はごくりと唾を飲み込んだ。

ビーナスの部屋 ベッドが乱れている

ふとビーナスと目があった。 彼女は俺の目をじっと見つめている。
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「ねぇ、こっちに来て……」
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