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BABYMETALを769日間追いかけた男が語る――ベビメタは日本そして世界市場をいかにして獲得したのか

ライブに行きたい「衝動」が生まれる

――アイドルブームの文脈で、あえてベビメタの位置を伺わせてください。たとえば、乃木坂46のブームは、地下アイドルブームの中で起きた「反動」なんじゃないかという見方があります。ライブに足を運んでナンボ、という現場主義の価値観がアイドルファン内で強まるにつれ、自宅でYouTubeを見ているだけの「在宅」と言われるファンがかなりバカにされてきました。 カネコ:なるほど。 ――でも、アイドル市場が拡大しているのだから、在宅は無視できない数まで膨れ上がっていたわけです。そこを乃木坂46はテレビや雑誌など旧来のマスメディアの露出に注力して一気に在宅というマスの心を掴んだ。 むろん、彼女たちは握手会やライブもそれなりに実施して、しっかり「現場」の消費もさせる。ベビメタはYouTubeを見たあとにすぐにライブに足を運ぶファンが多いと聞きました。その意味で、うまく在宅と現場の導線をつくれているのかもしれません。 カネコ:ベビメタのファンは、不思議なほどに「衝動」という言葉を使う人が多いんです。本当に、YouTubeを見てから衝動的にライブに足を運ぶんですよね。それだけ音楽やダンスに魅力があるのでしょう。ライブに行きたくなるアーティスト、というのが最大の特徴と言えます。 ――とはいえ、そんなファンの「衝動」をいつでも待ち構えられるほど頻繁にライブをやっているわけではないのでは? カネコ:そうなんです。たとえば、2015年は国内ライブが比較的多い年だったのですが、最近はチケット獲得競争が加熱していて、抽選に落ちることが珍しくなくなっています。当落情報は、ファン同士でよくTwitter上で共有されています。 ――近年のアイドル市場では、運営サイド発ではないファン同士の交流や分析など、自生的な盛り上がりがグループの市場拡大に欠かせなくなっています。それはBABYMETALでもよく見られますか。 カネコ:ベビメタは公式サイトの情報があまり充実していないんです。そのため、ファン同士の情報交換が盛んなんですよ。特に、ベビメタは伏線を張ったり過去の有名アーティストのオマージュを入れることが多い。 すると、新譜や演出の「元ネタ」を見つけてくる音楽に詳しいファンが盛んにネットで発信するわけです。そんな謎解き要素も、ベビメタファンが熱狂的になる所以かもしれません。
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世界市場をいかにして獲得したのか
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BABYMETAL 追っかけ日記

一人のアイドル好きの男性が、身も心も仕事もベビメタ一色になっていく

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