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なぜ舛添都知事の無駄遣いをだれも止めなかったのか?

カネにがめつく、セコく、ケチくさい

 ところが、舛添知事が就任した2014年に都が策定した「東京都都市外交基本戦略」は中身が空っぽで、何を目指しているのかさえわからない。熊本地震が起きているというのに、外遊先のアメリカでオープンカーに嬉々として乗り込んで批判されたが、これまでの外遊で成果を都に持ち帰ったことなどない。そもそも外遊の目的自体が不明確なので、海外に遊びに行っているに等しい。  舛添知事は参議院議員の頃、新党改革を立ち上げたが、政党助成金を自らのファミリー企業の舛添政治経済研究所に還流させるなど、もともとカネにがめつい。この度の文春の記事のように、政治資金を私的に使ったとか絵画を購入したとか、セコイ話には枚挙にいとまがない。フランス文化通を気取っているが、こういうケチくさい人物だけに違和感が非常に大きい。外遊に際して、スイートルームやファーストクラスにこだわるのも、そうした気質がなせる業だろう。

舛添知事に甘い都議会議員はだれか見極めよ

 豪華すぎる外遊や公用車のムダ使いが批判されても、舛添知事は強気に反論しているが、少なくともこれまでは議会や都庁を掌握しているつもりなのだろう。というのも、彼には議会や役所の既得権益に斬り込むつもりはないのだ。  都議会与党からは、この度の醜聞を舛添知事は乗り切れるとの見方をしている。つまり家族旅行の代金や散髪代など政治資金として計上したものを、返金や政治団体収支報告書の訂正で突破するだろうと考えている。  しかし、多くのメディアが公金の無駄使いを報じ、舛添バッシングが続けば、潮目が変わるだろう。来年は都議会議員選挙の年だが、自分たちの選挙に不利となれば舛添バッシングを始める与党議員が出てくるかもしれない。  ただ、あまり報じられていないが、都知事をチェックすべき都議会議員のレベルが低いのも事実だ。質問が自分達で作れないからと職員に丸投げする。そして作ってもらった質問の漢字が読めない。ある若手議員がしきりに「みは、みは」と言っているから何かと思いきや、「実は」を読めなかった。冗談みたいな話だが、それ以来、某政党の質問文にはルビがふられるようになったというウソみたいな話もある。  私もみなさんにできるだけ多く情報提供をするつもりだ。舛添知事に甘い議員はだれか、よく見極めてほしい。その議員は、間違いなく舛添知事と同じことをしているからである。 【野田数(のだかずさ)】 教育評論家。東京都出身。早稲田大学教育学部卒業後、東京書籍に入社するが、歴史教科書のあり方に疑問を持ち、政治の道へ。東京都議会議員時代に石原慎太郎氏、猪瀬直樹氏と連携し、朝鮮学校補助金削減、反日的な都立高校歴史必修教材の是正を実現し、尖閣購入問題などで活躍。その後、多様な経験を活かし、ビジネス誌や論壇誌で本質を突いた社会批評を展開している。 <写真/Chatham House(flickr)
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