60年間人形を作り続けている人形作家・四谷シモン氏のハンス・ベルメールとの特別な出会いとは?

「他人に人形制作を教えることで学ぶことも多い」という四谷シモン氏。

 5月14日から六本木ストライプスペースで「エコール・ド・シモン人形展」が開催されている。数えきれない赤色と黒色のビニル製の物体に覆われている人形、やたらとニヒルな人相のダルマ集団、ガラスケースに生ものといっしょに閉じ込められた骸骨などなど、一般的な人形のイメージとはかけ離れた作品が並ぶ。いわゆる「創作人形」と呼ばれるジャンルの作品である。

 この展覧会の主催者であり、創作人形制作の第一人者である四谷シモンが、「人形で食っていく」と覚悟を決め、創作人形のジャンルを切り開いていく上で、評論家・澁澤龍彦や画家・金子國義などアングラ文化における重要人物たちとの出会いがあったことを前回の記事「六本木で開催中の摩訶不思議な人形展。そのルーツを、主催者の人形作家・四谷シモン氏の人生からひもとく」では紹介した。

 その中でも、ひときわ特別だったのが、ハンス・ベルメールの「球体関節人形」との出会いだと四谷シモンは語る。

「20歳のとき、雑誌『新婦人』で澁澤龍彦が紹介するドイツの人形作家・ハンス・ベルメールの『球体関節人形』を見て、『人形とはなんぞや?』という20年間のクエスチョンに、『人形とは人形そのものなんだ』ということがわかったんですね。今回の人形のテーマも『人形』。いつもそう」

 球体関節人形とは、首、手首、足首などの関節が球体になっていて、人形に自由にポーズをとらせることができる人形である。押井守の映画『イノセンス』の冒頭シーンでもハンス・ベルメールの人形が登場して話題になった。その運命の出会い以降、それまでの人形制作方法を一切捨てて、球体関節人形を四谷シモンは作り続けている。まさに、「エコール・ド・シモン人形展」で展示している人形たちは、40年前のドイツの人形作家ハンス・ベルメールの嫡子・四谷シモンが、日本のアングラ文化で培養された結果といえるのかもしれない。そんな四谷シモンが、激動のアングラ文化をともに駆け抜けた澁澤龍彦や金子國義に伝えたいことがあるという。

「(人形制作を)まだやってますよ。やめないですよ。最後までやりますよ。一歩も引かないですよ。やり続ける。だからやってこれたと伝えたいですね」

 きっと、天上の澁澤龍彦も、金子國義も、展覧会に咲き誇る百花繚乱の人形たちを眺めながら、その言葉に納得しているのではないだろうか?

●エコール・ド・シモン http://www.simon-doll.jp/

<取材・文/日刊SPA!取材班>

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