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「世界幸福度ランキング」で53位の日本。経済大国なのに、なぜ低い?

 世界ランキングで日本は負け続けているばかりではなく、上位にランクインするものももちろん多い。主に健康寿命および医療面、治安面などが挙げられるが、それ以外でもIQの高さ、特許の出願件数、国連通常予算分担金(2位)、自動車輸出台数(3位)、電話回線数(3位)なども上位だ。  傾向としては、客観的かつシンプルに数字を集計できるものに関しては、それほど順位が低くない。国際機関のランキングや、指標に詳しい研究関係者は次のように指摘する。 「ランキング全般に言えることですが、複数の指標を用いて複雑なスコアリングするものほど、恣意性が高まる傾向がある。言い換えれば、何をどのくらい基準として適用するかで順位が高くなったり、低くなったりする」  例えば、あるNGOがランキングを作成する際、NGOのスポンサーになっている国々や政府の評価が高くなることが往々にしてあるそうだ。つまり、スポンサーに有利になるよう配慮して、根拠となる指標を選ぶということになる。また世界ランキングは、指標を策定する実務者レベルの判断に左右されるところが大きい。  国際政治に詳しい全国紙記者は言う。 「発表する機関や組織のほとんどが欧州に集中しており、ランキングは欧米の価値観や実情をもとに作られる。日本やアジアの国々が低くランク付けされる場合が多く、各国政府関係者などによるロビー活動も順位の重要な要素になる。こうした活動は、近年、日本がもっとも不得意とした分野です。それが如実に表れている」  安倍政権になってから、日本のイメージを変えるべく海外に向けて積極的に情報発信をするようになった。今後、各種ランキングにも変化が起こるかもしれない。

日本が上位にランクイン!

【健康寿命ランキング】 1位 シンガポール 2位 香港 3位 日本 ※出典:国連・UNSDSN 【人口一人あたりの特許登録件数】 1位 日本 2位 アメリカ 3位 ドイツ ※出典:経済協力開発機構(OECD) 【IQの高い国ランキング】 1位 香港 2位 韓国 3位 日本 ※出典:米スタティック・ブレイン 【鈴木賢志氏】 すずき・けんじ●明治大学国際日本学部教授。日本と海外の諸制度の比較論が専門。近著に『日本の若者はなぜ希望を持てないのか』(草思社) 取材・文/SPA!世界ランキング取材班 ― 世界ランキングで見る[日本の凋落度] ―
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日本の若者はなぜ希望を持てないのか

日本の未来を考える上での必読書。

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