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刺青=ヤクザ!? 暴力団排除の巻き添えを食う「刺青・タトゥー」愛好家たち

 この国では「刺青=悪」なのか? 外国人客の流入や、ファッションの多様化に伴い、刺青やタトゥーを目にする機会が増えたが、一般化するにはハードルが高いのも事実。刺青を取り巻く現在の状況を追った。

刺青=ヤクザ!? 暴力団排除の巻き添えを食う愛好家たちも

 浅草の三社祭といえば、色とりどりの絵柄を体に彫り込んだ人々がその美を競い合う“刺青品評会”としての一面も知られてきた。ところが5月中旬の祭りでは、彼らは鳴りを潜めていた。神輿見物をしていた商店街の店員に聞けば、昨年から刺青が見える状態で神輿を担ぐのはNGになったという。 「刺青客はお断り」という“ルール”は、健康ランドや温泉旅館などではすでに一般的になりつつあるが、その風潮はいまや祭りという年に一度のハレの場にまで及んでいるのだ。  こうした刺青排除の論理は正しいのだろうか。そもそもそれをジャッジできるほどに日本人は刺青を知っているのだろうか。まずは、刺青排除運動の原点ともいえる公衆浴場の事情を、刺青専門誌『タトゥーバースト』の元編集長・川崎美穂さんに聞いた。 「街の銭湯については、公衆浴場法が『地域住民の日常生活において保健衛生上必要』と定める公共性が高い施設なので、刺青の客も基本的に断りません。一方、健康ランドなどの娯楽施設や宿泊施設などの温泉は、より私的な空間と位置づけられ、断られることがあります。『刺青お断り』の看板というのは『暴力団お断り』という意味合いで、警察が作って入浴施設に配っているケースのほか、事業者が自主規制として掲示しているケースがあります」
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自主規制の施設こそ問題?
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