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フロリダ銃乱射だけではない…過去にもあった「イスラム国」による同性愛者への理不尽な人権侵害

同性婚を認める国、同性愛をタブー視する国

islamic state dabiq magazine issue 7 from hypocrisy to apostasy

イスラム国機関紙のDABIQ 7号より

「同性愛」をめぐっては、日本のみならず世界で権利拡大を求める運動や法律改正の動きが活発化している。欧米では人権擁護の立場から同性婚を認める国が増える一方、アフリカ諸国やイスラム教国ではタブー視されることがほとんどだ。  欧州や北米諸国は「同性愛」に寛容な国が多い。オランダは2001年に世界で初めて同性同士の結婚を認める法律を施行し、アイスランドでは09年に、レズビアンでを公言していたヨハンナ・ジグルザルドッティル氏が世界初の「同性愛者首相」に就任。カナダではトロントで行われる同性愛関連のイベントが有名で、周辺地域の人口の約10%がLGBTとされており、同性愛者の移民も多い地域だ。  米国の大手調査会社のギャラップ社が世界123の国や地域で行った世論調査では、09年から13年まで、調査対象国の15歳以上の約1000人に「あなたが住む街や地域は、ゲイやレズビアンにとって住みよい場所ですか?住みにくい国ですか?」と聞いた。そこで「住みよい国」と答えたのが1%に止まったのが、イスラム教徒の多いセネガルとパキスタン。2%だったのはアフガニスタン、エチオピア、インドネシア、マリ、ウガンダの5か国で、下位はイスラム教徒の多い国やアフリカ諸国が占める結果に。例えば、ウガンダでは同性愛に最高で終身刑を科せる法律が成立しており、国際的人権団体から大きな批判が寄せられている。  また、イスラム教徒が人口の9割を占める世界最大のイスラム国・インドネシアでも、シャリーアに基づく厳格な風潮が強まるスマトラ島アチェ島で、同性愛について100回の鞭打ち刑に科す条例を可決。宗教を問わず外国人にも適用される。  日本でも昨年4月から渋谷区で「同性パートナーシップ条例」が施行されるなど、LGBTへの理解は広がりつつある。しかし、こうした人権侵害の背景にあるのは宗教問題であり、日本人の感覚で理解するのは困難だが、今もなお同性愛者に対する差別や偏見が世界に溢れているという現実は理解しておきたいものだ。 <取材・文/北村篤裕>
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