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ビンスがホーガンの“引退ドラマ”を演出――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第122回

 WWEの“暴露本”の出版をもくろんでいたデビッド・シュルツは、元同僚のビリー・ジャック・ヘインズ、ケン・パテラ、ランディ・カーリー(元ムーンドッグ・レックス)らの証言をカセットテープに録音し、この“原稿”を出版社に売り込んだ。  シュルツは「(WWEは)マリファナ、コカイン、なんでもあり」、ヘインズは「(ホーガンは)ステロイドを常用していただけでなく、それをレスラー仲間に売っていた」というなまなましいコメントでかつては親しいツアー仲間だったホーガンを糾弾した。  有力紙『ロサンゼルス・タイムス』が“ステロイド疑惑の次はコカイン疑惑”という記事を掲載すると、全米の地方紙も「『ロサンゼルス・タイムス』紙によれば――」といった間接的なアプローチでこの話題をフォローアップした。“WWEバッシング”のうねりはアメリカ国内だけでなくヨーロッパまで拡散し、英『ロンドン・デイリー・ミラー』紙は“コカイン疑惑でホーガン引退か?”なるスクープ記事を一面で報じた。  ホーガンはマスメディアの取材にいっさい応じることなく沈黙を守りつづけた。一連の疑惑報道に対し、この時点でWWEとホーガンにある一定の“説明責任”があったかどうかはいささかの議論の余地を残すところではある。WWEは契約選手へのドーピング検査の導入で“ステロイド疑惑”への対応とその沈静化を急ぎ、ホーガンはサンマルチノ、グラハム、シュルツらのコメントを黙殺することで疑惑報道の信ぴょう性にそれとなく疑問符を投げかけた。
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ホーガンのイメージに大きな傷
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