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「よかったら一緒に観光しない?」――46歳のバツイチおじさんは国連に勤める才女から突然デートに誘われた〈第26話〉

突然、嫁さんにフラれて独身になったTVディレクター。御年、46歳。英語もロクにしゃべれない彼が選んだ道は、新たな花嫁を探す世界一周旅行だった――。当サイトにて、2015年から約4年にわたり人気連載として大いに注目を集めた「英語力ゼロのバツいちおじさんが挑む世界一周花嫁探しの旅」がこの度、単行本化される。本連載では描き切れなかった結末まで、余すことなく一冊にまとめたという。その偉業を祝し、連載第1回目からの全文再配信を決定。第1回からプレイバックする!  *  *  * 46歳のバツイチおじさんによるノンフィクション巨編「世界一周花嫁探しの旅」、今回の滞在地は6か国目スリランカです。前回、トゥクトゥクドライバーと料金で揉めて大ゲンカしたり、白装束の怪しい現地人に付きまとわれたりと、手痛い洗礼を受けたバツイチおじさん。「もう、ここで花嫁探しは無理だ」とスリランカに来たことを激しく後悔し始めていたバツイチおじさんでしたが、今回、運命の歯車がガラガラと音を立てて回り始めます。恋するバツイチおじさんのズンドコ珍道中、スタートです! 「この子を連れて帰るなら、俺たち全員分のお金をお前が払えよ」――46歳のバツイチおじさんはアラブの荒くれ者に難癖をつけられた英語力ゼロの46歳バツイチおじさんが挑む「世界一周 花嫁探しの旅」【第26話 神様からの試練】 スリランカにある仏教の聖地キャンディで、街の女の子の写真を撮影していると、全身白い服を着た見知らぬ宗教者ぽい男になぜかつけ回された。なぜあんなにもしつこくつけ回されたのか真相は不明だが、もうスリランカで女の子には話しかけるのはやめようと思った。 「とっととスリランカを脱出してインドに向かおう。この国は花嫁探しに適さない」

スリランカ・キャンディの街並み

キャンディ到着2日目の朝、俺はゲストハウスのスタッフにインド大使館の場所を聞き、トゥクトゥクを走らせた。 インドに6ヶ月間滞在できるマルチビザを取るためだ。 迷いながらも街の中心街から15分離れた大使館に到着した。 しかし、何やら様子がおかしい。 静かすぎる。 建物の中に人がいる気配すらない。 門番が気だるそうに俺を見ていた。

キャンディーにある人の気配がないインド大使館

俺「あの、ここってインド大使館ですよね?」 門番「そうだよ」 俺「インドビザを取りに来たんですけど」 門番「あー、さっき大使が出かけたから、ビザ取得はしばらく無理だよ」 俺「え? しばらくってどのくらいですか?」 門番「バカンスに行ったから、ちょっとわからないな」 俺「……」 わからないって……。 そもそもバカンスって何だよ……。 インド大使館が大雑把だとは聞いていたけど、ここまでとは……。 俺「他にインドビザ取れるとこあります?」 門番「ここから10分ほどトゥクトゥクで行くとビザセンターがあるから、そこに行くといいよ」 俺「そこでビザ取れるんですね?」 門番「あー、取れるよ。でも、もう終わってるから明日ね」 なるほど、旅人のあいだで「インドの旅はビザを取るところから始まっている」と言われる理由が少しわかった気がした。 翌朝、門番の情報をもとに町の郊外に向かうと、雑居ビルの一角にビザセンターを見つけた。中に入ると、お役人ぽい人たちが厳しい表情でビザの受付らしきことをしている。俺は列に並び、事前にネットで打ち込んだ自分の職歴から親の住所まで、やたら長いドキュメントを女性役人に提出した。 役人「ここ、間違ってるわね」 俺「あ、すみません。直します」 役人「今日の提出は無理ね。また明日来てください」 俺「え? 明日? すぐに直しますよ」 役人「今日はたぶん無理だから、明日また来てください」 俺「すみません。旅してて時間がないんです。明日まで待てないんですよ」 役人「じゃあ、後ろにいる業者にお願いしてみたら?」 受付の後ろを見ると、ちゃんとした感じの男性がパソコンの前に座っていた。 一刻も早くビザが欲しいかったので、その男性に日本円で約400円払うと、パスポートを参考にインド大使館提出用のドキュメントをさくさく作成し始めた。 そのままデジタルカメラで写真を撮り、たった5分ほどで完璧なドキュメントを完成させたのだ。 確証はないが、この業者とお役人は癒着関係があるように感じた。 ここは役所内なのに、なぜこんなシステムが成立するんだろう。 俺「いつ、ビザって発行されます?」 役人「うーんと、休みが挟まるから2週間後ですね」 俺「え!? 2週間も?」 役人「はい。2週間後の朝9時にもう一度ここに来てください」 やはり「インドの旅はビザを取るところから始まっている」という言葉に間違いはないようだ。というわけで、花嫁探しに適さないと思われるスリランカに、あと二週間は滞在することが自動的に決まった。 「まぁ、これも運命だよな」
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