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クリスティアーノ・ロナウドはなぜ欧州サッカーファンに嫌われるのか?【EURO2016 現地コラム】

 フランスで開催中のサッカー欧州選手権・EURO2016も地元フランスとポルトガルの決勝を残すのみ。日本ではあまり盛り上がっていないようですが、現地ではパリを中心に開催国フランスの頑張りもあって、決勝トーナメントに入ってからは盛り上がりを増している感もあります。  戦前の予想はフランス有利。フランスは84年のEUROと98年のワールドカップと過去2度ホスト国として優勝を経験していますが、2度あることは3度あるということでしょうか。  一方、ポルトガルはグループリーグを3分けの3位でなんとか勝ち抜き、決勝トーナメントに入ってからは2度の延長戦(ポーランドには辛くもPKで勝利)を制すなど、よく言えばギリギリのところで勝負強さを発揮してきたとなりますが、90分で勝利したのは準決勝ウェールズ戦のみと決勝まで勝ち残ってきたことに驚きの声も少なくありません。  とはいえ、ポルトガル代表にはサッカー好きな方はもちろん、そうでない方もおそらく知っているであろう絶対的エースFWクリスティアーノ・ロナウドがいます。そのロナウドにとっては優勝すればナショナルチームでの初のタイトルになります。負けん気が強く、ハリウッド俳優ばりの目立ちたがり屋の彼のことですから、「絶対に俺がゴールを決めてやる」と意気込んでいることでしょう。  ところで、ロナウドといえば日本でも度々サッカー雑誌の表紙を飾ったり、来日すればワイドショーに取り上げられたりするほどの人気ぶりですが、みんな彼のことがそんなに好きなんですかね。まあゴールだけは決めるのですごい選手なのは間違いないのですが……。  僕はどうしてもゴール後にサポートしてくれた仲間に一瞥もせずに、いかにも「俺がゴール決めたんだ、すごいだろ!」的なパフォーマンスをするところや、ファウル(反則)を受けてもいないくせに勝手に大げさに倒れてFKやPKを要求するしぐさを見るために嫌悪感を覚えていますが、これって僕が捻くれ者だからでしょうか。  いやいや、そんなことはありません。ユーロには欧州の各国から多くのファンやサポーターが来ていますが、そう感じているのは僕だけではないことをはっきりと確認しています。

当たり前かもしれないが、ロナウドのユニフォームを着たファンは多い

 もちろん、ポルトガルの人はロナウドを応援し、対戦国のファンがロナウドに活躍してほしくないと願うのは当然です。ただ、スタジアムやファンゾーンに来ている第3国の人も、ロナウドが自慢の跨ぎフェイントを失敗すれば鼻で笑い、シュートを枠から大きく外せば失笑という具合だったのは真実です。国は違っても、嫌味な奴は嫌味に映るわけです。ちなみに、ポルトガルは初戦で、今大会を象徴するチームの1つとなったアイスランド(人口33万人は出場24チーム中最少)と対戦しています。その試合後にロナウドはアイスランドの選手(アーロン・グンナルソン)からユニフォーム交換を求められながら「お前は誰だ?」などと失礼なことを言ったとか言わなかったとか。本当は「お前は誰だ?」なんて言ってはなく「(ロッカールームのある)中で(交換しよう)」と言っていたなどと一部で話題になっていました。  実際はどうだったのか、気になってアイスランドの選手やジャーナリストに取材をしてみると、「中で」と言ったのは本当だったけど、実際にその後ロナウドは現れなかったそう(ロナウドはやっぱりごう慢だ)。  その選手は代わりにアイスランド代表のチームメートから背中に「RONALDO」と書いてある“偽物”のユニフォームがプレゼントされたという。サッカーではときにごう慢さが吉と出ることもある。けど、今回の決勝ばかりはそうならないでほしいと願うばかりである。そして、ロナウドのスーパープレーだけでなく一挙手一投足に注目してみたら、その印象は変わるかもしれません。 〈取材・文/栗原正夫〉
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