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“ステロイド共同謀議”ビンス在宅起訴――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第146回

 検察当局はビンスとWWEをいちばんよく知る人物としてホーガンを公判の証人席にひっぱり出そうとしていた。ホーガンは2年まえの“ザホリアン裁判”では出廷を回避したが、こんどはやや状況が変わっていた。FBIが予審に提出した証拠品のなかにはサボリアン医師がホーガン宛に送付したとされる“1989年10月付”の宅配便(発送先はタイタン・タワー)の領収書が含まれていた。  大陪審はTVショー“アーセニオ・ホール・ショー”(1991年7月16日オンエア分)でのホーガンの「ステロイドを使用したのは3回だけ。1983年にケガの治療のために投与した」というコメントを重視。ホーガンはその後、『ロサンゼルス・タイムス』紙と『サンディエゴ・ユニオン-トリュビューン』紙のインタビューで「80年代にステロイドを常用していた」ことを認めたが、約1年間の“引退”をへて1992年2月に戦列復帰後は「1988年に(ステロイドの使用を)やめた」とコメント内容を“一部修正”した。  公判までの“空白の6カ月間”はビンスとビンスの弁護団には十分な準備期間を与えたが、それはまたマスメディアのWWEバッシングがあと半年間つづくことを意味していた。そして、ビンスとホーガンの友情にひとまず終止符が打たれたのだった――。(つづく)
斎藤文彦

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