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都知事選で埋もれてしまった横田基地の「空域返還」と「軍民共用化」問題

 東京都知事選(7月31日投開票)も中盤戦に突入したが、現在のところ「保守分裂」で後ろ盾なしの出馬となった小池百合子候補が頭ひとつリード。それを「野党統一候補」の鳥越俊太郎候補が並びかけ、やや遅れて自民・公明両党の推す増田寛也候補が追いかける構図のようだ――。

在日米軍司令部、空軍司令部などのほか、航空自衛隊航空総体司令部なども所属する横田基地

 与野党ともに「党内事情」や「党利党略」を優先させた結果、異例とも言える公示日直前での「後出しジャンケン」が続出し、政策論争がまったく深まらないまま、またもや「知名度頼み」の選挙戦となっている。多摩・島嶼エリアを含めた広大な選挙区をわずか17日間の短期決戦で回るのは限界があるため、テレビの公開討論を通じて、各候補者が掲げる政策を自らの言葉でストレートに議論する姿を見せてほしいものだが、先週末の7月16日には、フジテレビ系『新報道2001』の候補者討論会に鳥越俊太郎氏が「ドタキャン」していたことを、増田寛也氏がツイッターで暴露。ただでさえ、政策本位で候補者を見極めたい欲求が募るなか、ネット上では「ヒドい」「政策論争できないから?」「そりゃ、喋るほど支持率落ちそうだもんね」など批判の声が湧きあがった。  「主要な候補者」と言われる小池、鳥越、増田の三氏が掲げる公約、政策を見比べても、皆似たり寄ったりで、正直あまり変わり映えしない。2020年の東京五輪を巡る多くの課題は言うまでもなく、年間7800人を超える待機児童や、こちらは年間3000人に迫る特別養護老人ホームの「入所待機者」の問題、さらには、首都直下地震に備えた防災対策……など、首都・東京が直面する喫緊の課題はある程度搾られているものの、現段階では各候補者とも、具体性に乏しく耳障りのいい公約ばかり訴えている印象だ。  当然のことながら、人口1360万人の東京が抱える問題は多岐にわたる。子育て、老人福祉、医療、貧困、防災対策など生活者の目線に立った行政サービスを充実させることが、都政の“最重要課題”であるのは言うまでもないが、今回の選挙でほとんど語られていないのが、日本の首都・東京を睥睨するかのように広がる在日米軍横田基地の「管制空域返還」と「軍民共用化」を巡る問題だ。
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巨大な「空の聖域」があることで…
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