南シナ海問題で中国政府が煽る民衆デモの正体【中国人漫画家・孫向文】

 こんにちは、中国人漫画家の孫向文です。今回、最新刊「中国が絶対に日本に勝てない理由」(扶桑社刊)が発売されるにあたり、短期集中ながら連載させていただくことになりました。第1回目の『日本国憲法は“欠陥品”!? 中国人漫画家が語る「改憲勢力3分の2に期待すること」』に続き、第2回の今回のテーマは「南シナ海問題」についてを、中国人漫画家の僕がどう見るか、です。

南シナ海問題で中国政府が煽る民衆デモの正体

七連嶼 2005年2月5日撮影

世界の「対中包囲網」で高まる中国ナショナリズム


 2016年7月15日、南シナ海沖を乱開発する中国に対し、日米韓三ヶ国の外務相は中国側が「ハーグ裁判所の判決結果を認めるべき」という見解を発表しました。ほかにもオーストラリア、インドなど各国の首脳陣が中国を非難する意向を示しており、世界各国による「対中包囲網」が完成しつつあります。

 これらの事実を受け、中国国内では偏執的なナショナリズムが発生し、中国を批判した国に対する抗議活動が活発化しています。具体的な事例をあげると現在の中国国内ではアメリカ資本のファーストフード店に対する不買運動が発生し、消費者が売国奴と罵られたり、店舗に生卵が投げつけられるといった嫌がらせが各地で行われています。抗議活動に参加している人々の多くが中国の行政側が公認した「仕込み」であり、店舗側が警察に通報しても抗議を停止しません。

 さらに現在は官民が一体となって抗議活動を後押ししています。2016年7月20日、山東省のある都市では教師の指導のもと小学生たちがファストフード店の前に立ち、抗議活動を行ったそうです。中国国旗を手に掲げ口々に中共擁護、アメリカ批判の声をあげる小学生たちの姿を見て、僕は「紅衛兵」(文革時、中共に扇動された一般市民の総称)を連想しました。またとあるネット通販企業は、中国が主張する南シナ海の領海線「九段線」が描かれた地図を、「海水一滴すら渡さない!」という「人民日報」発のキャッチコピーのもと販売しています。

 中国国民たちの抗議活動は、もはや被害妄想の域まで達しているものもあり、中国を非難したフィリピン産のバナナを販売する店舗に脅迫声明が送られたり、ネット上ではバナナの購入者が批判されています。先日日本の女性大食いタレントが「6kg分のバナナを食べる」という動画をYouTubeにアップしたところ、「バナナの数は137本、これは中国の人口13.7億人を風刺している!」「バナナを食べるな日本鬼子!」といった馬鹿馬鹿しい抗議が殺到したのです。

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中国が絶対に日本に勝てない理由

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