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夏の甲子園、「ドリームシート」導入で一変したバックネット裏の風景【第98回・高校野球】

【8号門クラブと騒動の舞台裏】  甲子園バックネット裏の中央特別自由席では、ラガーシャツを着用して観戦する「ラガーさん」が名物となっていた一方で、彼の所属する高校野球私設ファンクラブ「8号門クラブ」は、バックネット裏に通じる8号門前で野宿し、最前列を含む数列を占拠。「自由席の私物化だ」としてネットで物議を醸していた。 <1990年~2000年代> 「8号門クラブ」は春夏の高校野球期間中、バックネット裏の座席を確保するために甲子園8号門入り口前に陣取り、徹夜を続けて毎試合観戦していた常連グループ。発足は1990年頃で、メンバーは全国から集まる10人程度とされる。メンバーのラガーさんは、ラガーシャツを着て全試合を甲子園で観戦する名物おじさんであり、地方大会にも足を運ぶ筋金入りの高校野球好き。2000年代にはインターネットが普及し、ネットの掲示板やブログで「いつもバックネット裏に座っている人たちはどういう人なんだ」という書き込みが増え、徐々に注目を集めた。 <2010年代>  ネットでの関心と注目から、スポーツ誌「Number」や野球雑誌「野球小僧」でラガーさんと8号門クラブの特集をするように。メディア露出が増え、とりわけ注目を集めていたラガーさんは以下の3冊の著書を上梓。テレビ出演などの一方で、8号門クラブへの否定的な意見も目立つようになってきた。 ・2014年3月8日『甲子園のラガーさん』(オークラ出版) ・2014年7月12日『ラガーさんの嗚呼、青春の甲子園あるある』(同) ・2015年6月13日『〔大甲子園〕摂氏45℃の激闘』(ぱる出版) <2015年夏~偽ラガー事件から署名提出へ~>  東海大相模高校ファンの偽ラガー氏は、同高の初戦をネット裏最前列で観戦したいと考え、前日から8号門前に並び、最前列を確保することに成功。しかし、ネット裏席は8号門クラブの場所とするメンバーから席を離れるよう執拗に恫喝される。この一連の行動が偽ラガー氏によってTwitterで発信されたこと、目撃した観客が写真をネット掲示板へ投稿したことによって大きな騒動へと発展した。  こうした一連の騒動の結果、オンライン署名収集サイト「change.org」に「甲子園のバックネット裏は8号門クラブのものではありません。一部団体の私物化に抗議します」とのページが上がって以降、抗議の署名は8000人程度となった。
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