ビンス無罪“ステロイド裁判”エピソード15=ハルク・ホーガンの証言――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第168回
弁護側のローラ・ブレベッティ弁護士は、ホーガンへの質問を“4・13パッケージ事件”と“10・24パッケージ事件”に関する具体的なコメントへとシフトチェンジした。
――あなたはタイタン・スポーツ社のオフィスを通じてステロイドを購入したことがありますか?
「わたしがビンスの秘書のエミリーに電話を入れ、エミリーがザホリアン医師に連絡を取り、ステロイドをオフィスに配達してもらう、ということは何度かはありました」
――“4・13パッケージ”は?
「1989年4月に会社で(ステロイドを)受けとった記憶はありません」
――あなたが使用するステロイドの代金は会社が支払っていた?
「いいえ、自分が使う分は自分で支払っていました。ただ、わたしのステロイドをビンスが使い、その後、お金ではなく現物で(ビンスから)返してもらったことはあります」
――ビンスの専属ドライバーのジム・スチュワート氏が試合会場にステロイドを届けたことは?
「そういうことはなかったです」
――あなたが最後にステロイドを使ったのは1989年ですか?
「ええ、そのあたりですね」
――ふたりめのお子さんのニコラスくんが誕生したのは1990年6月ですから、リンダ夫人が妊娠したのは1989年9月という計算になります。“10・24パッケージ”の時点ではあなたはステロイドをやめていたのでは?
「わたしがステロイドを使用中に妻を妊娠させたことで、結婚以来、いちばん大きなケンカになりました」
ホーガンは淡々とコメントし、ジェイコブ・ミシュラー裁判長はその発言に耳を傾けていた。(つづく)
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文/斎藤文彦 イラスト/おはつ
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