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ふたりのアンダーテイカー@サマースラム――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第174回

 ホーガンのいなくなったWWEのリングはいよいよ“複数スター性”の時代に入った。ビンス・マクマホンはブレット、アンダーテイカー、ディーゼル(ケビン・ナッシュ)、ショーン・マイケルズの4人を並列で主役のポジションにレイアウトしようとしたが、チャンピオンのブレットはこの新システムに抵抗した。ビンスとブレットの確執は根が深かった。  “サマースラム”ではブレット対オーエンの金網マッチは全7試合中、第6試合にラインナップされ、33分21秒という耐久マッチの末、ブレットがオーエンに完勝。しかし、スーパーイベントの大トリをとったのはアンダーテイカー対にせアンダーテイカーのシングルマッチだった。  にせアンダーテイカーは“サマースラム”の目玉企画としてプロデュースされた新キャラクターで、その正体はブライアン・リーという(この時点では)無名のレスラーだった。ふたりのアンダーテイカーがリングのまんなかで向かい合うという映像はまるでホラー映画のワンシーンのようだったが、試合そのものは名勝負にはならなかった。  ブレットはWWE世界王者としての長期政権を望んだが、ビンスはキャリアの浅いディーゼルを次期王者候補に“指名”した。ビンスは「チャンピオンは雲をつく大男」という持論を曲げようとしなかった。(つづく)
斎藤文彦

斎藤文彦

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