疑惑はスタッフの第一声で晴れた
だが、そんな疑惑は会場に入ってすぐに晴れた。
まず、スタッフが疲れている。疲れているけど、初日の高揚感でテンションが高い。そして、筆者の顔を見た『鷹の爪』チームのディレクター、轟おうる氏が
「『コフィー』、できましたよ!」と声を掛けてくる。「間に合った」という安堵感でいっぱいだ。これは間違いない。長年の経験でわかる。確実にこれは
修羅場が終わった直後のクリエーターの顔だ。あとで聞けば、
完成したのが朝の5時。そして現在が朝10時。完成してから5時間しか経っていない。みんな風呂には入ったのか?
轟氏によれば、「前々から『コフィーを復活させたいから、新しいデザインを考えといて』とFROGMANに言われていたんですが、なんとなくそのままになっていて。なので、木曜日の夕方から一気にやりました」とのこと。デザインしてはその場でFROGMANの手直しを反映し、また商品開発チームの意見も取り入れるなど、普通は時間をかけてやる作業を一気にやったらしい。それに、土曜日(20日)の朝5時に完成ということは、
制作発表から36時間で完成させた、ということだ。
だが、一体全体、なんでこんなことになったのか。初日公開イベントに続きスタッフ打ち上げを終えたFROGMANを直撃した。えーと、まず、今回の「上映まで2日で、急に『コフィー』の新作を作り出した」という流れはガチなんですよね?
「
ガチですよ。前々から『コフィーは復活させたほうがいいんじゃないか』という話はあったんですよ。僕もコフィーはつくるのが楽しいですしね。コフィーは古墳なんで、何したって笑いになるじゃないですか。料理しても、ケンカしても、犯罪捜査しても古墳だからすべてシュールに見えるのがよくて。加えて、ここ最近の歴女ブームというか、古墳女子ブームみたいなものもあって。それで彼女たちのなかには『コフィーがきっかけで古墳にハマった』という人も多かったみたいで、読売新聞が取材にきたんですよね。
『古墳ブームを追っていったらみんながコフィーって言っているんですけど、なんですかそれ』って(笑)」
『秘密結社 鷹の爪』および『古墳ギャルのコフィー』の制作者であるFROGMAN氏
このようにFROGMANが『コフィー』を復活させる“心づもり”だったのは、筆者が事前に聞いていた通り。だが、まさかこのような短期間で復活させることになるとは本人もまったく思っていなかった。
「『鷹の爪8~吉田くんの×(バッテン)ファイル~』の制作も終わって、なんとなく『コフィー』やりたいなって気持ちにようやくなって。で、明後日に舞台挨拶もあるし、
ネタを仕込んどく意味で『コフィーをつくってほしければ1000RTしろ』って投げかけてみたんですね。で、『なんとか1000RT越えたら会社も説得できるだろう』ぐらいの気持ちでいたら3000RTとかいっちゃって」
DLE内でもこのネットの盛り上がりは当然話題に。すると、話が思わぬ方向に転がりだした。
「隣にいた江口プロデューサー(江口文治郎氏)が、
『だったら今度の舞台挨拶で新作を上映しましょうよ』と言い出したんです。そのときは、『いやいやいや、今度って
明後日じゃん!』って(笑)」
FROGMANが驚くのも無理はない。この時点で木曜日の夕方。そして、木曜日は夜と深夜に生出演する番組が2つもある、FROGMANにとって1週間の中で最も忙しい日なのである。
「復活させようとは思っていたけど、今からやろうとは思ってねーよ、と(笑)。そしたらすぐに、僕のスケジュールを管理している谷(洋一郎氏)が、
『シナリオを書く時間を2時間取っておきましたので』と言い出して。
『2時間かよ!』っていうのが正直な気持ちでしたが、これはもうやるしかないと、みんなが一気に動き出したんです」
コフィー役の相沢舞さんのスケジュールを押さえたものの、2時間でシナリオが書き終わるわけもなく、書き上がったのは翌金曜日の午前中。
「リブート作品なので、設定も変えなきゃいけないし、初めて見る人にもわかるようにしなきゃいけないし。
書き上がった瞬間に相沢さんが来ました(笑)」