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「自分の心に残ってるプロレスラーを書き残しておかなきゃいけない」 樋口毅宏×大槻ケンヂのプロレス対談

樋口:彼女たちは’90年代でいう豊田真奈美クラスなんですか? 大槻:現在の豊田真奈美を語らせてもらっていいですか!? 松坂慶子のように線が太くなったんですけど、どこかにかわいらしさを残していて。休憩中、若手のかわいいレスラーが物販をやってると、その一番端にリングコスチュームのままの豊田真奈美さんが「無」の表情で座っておられるんですよ。「水着でおばさんが座ってますが何か?」という、プライドを超越した顔してるんですね。たまにお客さんが「豊田さん、一緒に写真を撮ってください」と言うと、「は~い」と言いながらぬーっと立ち上がる。それがいいんですよ! 樋口:目撃してますねぇ。 大槻:あの表情を見たら小説にしたくなりますよ! 豊田真奈美がクレイジーな全女時代を経て無の表情に至るまで。 ――大槻さんは樋口さんの『太陽がいっぱい』を読まれたそうですが。 大槻:拝読させていただきました。元ネタがわかるのがいいですよね。 樋口:ありがとうございます。大槻さんのように長くプロレスを観てきた方からすると、「こんな露骨にラッシャー木村のエピソードを出していいのか」と思われるでしょうけど。かつて大槻さんが『ロッキング・オン・ジャパン』のインタビューで言っていた「3年たったら10代は知らない」と同じように、30年たってしまったら、ラッシャー木村が猪木と3対1で戦ってボコボコにされたことを今のプ女子は知らないと思うんです。三沢光晴すら知らないかもしれない。自分の心に残っているプロレスラーを書き残しておかなきゃいけないと思ったんです。 ※このインタビューは8/30発売の週刊SPA!のインタビュー連載『エッジな人々』から一部抜粋したものです 【大槻ケンヂ】 ’66年、東京都生まれ。’82年、ロックバンド・筋肉少女帯を結成。筋肉少女帯は’98年7 月に休止するも、’06年12月に活動を再開。エッセイスト、小説家としても活躍中。SF小説を対象とする星雲賞を2 年連続で受賞。近著に『おまけのいちにち』(パルコ)がある 【樋口毅宏】 71年、東京都生まれ。出版社勤務を経て’09年に『さらば雑司ヶ谷』で小説家デビュー。近著に小説『ドルフィン・ソングを救え!』(マガジンハウス)、サブカルコラム集『さよなら小沢健二』(扶桑社)。’13年に発売された『タモリ論』(新潮社)は14万部を突破しベストセラーに 取材・文/大貫真之介 撮影/スギゾー
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週刊SPA!9/6号(8/30発売)

表紙の人/ HKT48

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