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「貧乏弁護士」が急増。飲食店でバイトする若手も…

顧客も仕事もなく飲食店でバイト

 3年前に弁護士登録した原田史康さん(仮名・32歳男性)は、若手としていいように使われる生活に疲れ、今年独立を決意した。 「私が最初に勤めた法律事務所は月収30万円で、そこから弁護士会の会費、年金保険料、健康保険料などを払うので、実質は20万円程度。しかも個人案件を引き受けるのは禁止でした。10~23時くらいの勤務で残業代ナシでした」  まるでブラック企業のような勤務体系だが、そもそも弁護士には「残業代」という概念はない……というのが、この業界の定説だと原田さんは嘆く。そして彼は逃げるように別の事務所に……。 「移った事務所、ここもキツかった。痴漢や未成年買春をやってしまい、捕まるかもしれないと怯えている気の弱い相談者に高額の弁護士費用を払わせるのがやり方で、良心の呵責に耐えられなかった」  こうして、どうせどこの事務所もブラックならば……と事務所を開業した原田さんだったが、苦しい日々はさらに続いた。 「独立したはいいものの“顧客”はゼロ。やっと仕事が来ても経験が少ないため信用してもらえなかったり、法律相談にきた見込み客から話をうまく聞けなくて依頼に繋がらなかったりして、月収はほぼゼロです」  所在なさげに手をさする原田さん。その手は弁護士の手とは思えないほど荒れていた。 「実は仕事がなくて飲食店でバイトしているんです。もちろん、自分が弁護士だとは言ってません……さすがに言えないですよね」  司法試験を突破した現役弁護士が、飲食店で皿洗いをしている……記者は言葉を失った。 グラフ作成/前之浜ゆうき ― [貧乏弁護士]急増にはワケがあった ―
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