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大体の問題は誰かが解決するじゃない――連続投資小説「おかねのかみさま」

23:34 久里浜 美琴宅 ーーガチャリンコ 「タダイマー」 「あ、おかえりー」 「フー…」 「シニガミさん、なんか疲れてますね」 「ソウネ」 「なんかあったんですか?」 「ン-」 「…」 「シュヒギム」 「しゅひぎむ?」 「ウン」 「しゅひぎむって、守秘義務?」 「ウン」 「きになるじゃないですか」 「イロイロアルンダヨ…」 「べつに知りたいってわけじゃないけど隠されたら気になるじゃないですか。今日の晩ごはんは肉じゃがですけど、たべますか?」 「ウェーイ!!!ニクジャガー!!!」 「じゃあ何があったのかおしえてください」 「イエマセン」 「肉じゃがオアズケ」 「イイマス」 「はい」 「ンー、スギチャンガ…チョットタイヘン…」 「え?杉ちゃんって、綾の彼氏?今日いっしょだったの?」 「ウン」 「なにがたいへんなの?」 「ンー、コンプラ?」 「こんぷら」 「ウン」 「コンプライアンスのことかしら?」 「ソウネ」 「そうなんだ。あたし、偏差値は高いほうだけど、意外な展開をする現実にはずっと目を背けてきたから、そういった類の問題については一気に興味が失せるのです」 「ユトリ」 「だってー。大体の問題は誰かが解決するじゃない。はい肉じゃが」 「ウェーイ!!!」 「それにしてもあれよね。やっぱり自分で会社やってるといろいろあるのね」 「モグモグ…」 「でもさ、あれでしょ、きっとそういうのも税理士さんとかしほうしょしさんとかベンゴシさんとか、そういう人たちでなんとかしてくれるんでしょ?」 「モグモグ…」 「わたしも会社づとめしてたらそういう緊張感にグルングルン巻き込まれたりして、いろんなことやいろんな恋愛もしてたかもしれないけど、ねぇ。意外といまのお仕事気に入っちゃってるし、シニガミさんとの役割分担もうまくいってるからなんていうのかしら、人生いろいろみたいなとこがあるわy」 「ミコト」 「!?…は、はい…」 「ダイジョウブ…」 「な、なにが?」 「ミコトモソノウチ」 「…」 「グルングルン…」 次号へつづく 【大川弘一(おおかわ・こういち)】 1970年、埼玉県生まれ。経営コンサルタント、ポーカープレイヤー。株式会社まぐまぐ創業者。慶応義塾大学商学部を中退後、酒販コンサルチェーンKLCで学び95年に独立。97年に株式会社まぐまぐを設立後、メールマガジンの配信事業を行う。99年に設立した子会社は日本最短記録(364日)で上場したが、その後10年間あらゆる地雷を踏んづける。 Twitterアカウント https://twitter.com/daiokawa 2011年創刊メルマガ《頻繁》 http://www.mag2.com/m/0001289496.html 「大井戸塾」 http://hilltop.academy/ 井戸実氏とともに運営している起業塾 〈イラスト/松原ひろみ〉
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