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哀川翔「人生うまくいってないなら、まず今の自分を捨てろ」

――(笑)。では、今の時代を生きづらいと感じていて、人生がうまくいっていない人は、何をどうすべきでしょうか? 哀川:うまくいってないって人は、どこかで甘えてんじゃないかな。俺が見てきた限り、いつも大変とか言ってるヤツは、まず人の話や言うことを聞かないよね。そりゃ、大変にもなるって。人の話や言うことを聞いてりゃ、そんなに大変になるはずないよ。 ――ただ、いろんな人の意見を取り入れすぎると、今度は逆にどれを信じたらいいかわからなくなったりもします。 哀川:いやいや、現場で自分の上司をひとり決めればいいんだよ。『この人の言うことは聞こう』って。俺はそれでしか生きてないから。現場に行ったら、監督の意見は全部聞くぞって思って行ってるから。 ――翔さんの、人生の師匠みたいな人はいるんですか? 哀川:人生の師匠はいないけど、その時々の師匠はいっぱいいるよ。俺はそういう人たちの言うことを聞いてきただけだから。そもそも下の人間が腹が減ったって顔をしてたら、「おまえ腹減ってんだろ?」って言ってくれる。それが師匠だから。「すみません、お腹空いてるんですけど」って、こっちから言わなくちゃいけないような上司を師匠にすることないよ。そういうことができない上司は、上司じゃないよ。成功してる人は、みんな気遣いがすごいから。そこは共通してる。 ――自分も信頼できる相手を間違えちゃダメですね。 哀川:あと、今がうまくいってないって人は『まず自分を捨てなさい』っちゅうことだよ。だって成功してねえんだから、1度捨てるしかないじゃん。これまで、自分の考えで失敗してんだから。まず1回捨ててみて、そこで誰が拾ってくれるのか。『誰も拾ってくんなきゃ、あなたは終わり』って話だから。 ――終わっちゃったら、どうするんですか? それ…。 哀川:しょうがないよ、またそこから考えるしかないよ。終わってないから、考えられないんだよ。完全に終わったら考えるだろ、ヤッベー!! って。無人島にバーンと投げられてみな? みんな必死で生きようとするぜ? その覚悟がないからダメなんだよ。だから、ぬるいって言うんだよ、俺は。 ――それぐらいのショック療法じゃないですけど、1回終われと。 哀川:そう。みんな、あまりにも自分をかわいがりすぎなんだよ。実は誰もがそんなにできてはいないし、できるように生かされてる、って思ったほうがいいよ。俺だって、現場でやることはわかっていても、その場で作品を作り上げる人がいないと生かされないわけよ。ただ、俺は「呼ばれた」っていう自負はある。「俺が来たんじゃない、おまえらが呼んだ。でも、俺はなんでも言うこと聞くぜ」って、そういうふうに構えてるから、現場が終わるんだ。終わるってことは、やり遂げたから帰れるんだよ。 ――確かに。 哀川:俺、30数年間、現場やってるけど、1回も帰れなかった日はないから。言うこと聞きゃ終わるのよ。みんな言うこと聞かないから終わらないんだよ。だから、おまえが作ってんじゃないよ、ってことをまず頭の中に入れろって。まず、作り上げる人がいて、俺たちはその部品として働いてるから、モノができてるんだっていう回路を持ちなさいっちゅう話よ。 ――これはサラリーマンも一緒ですよね。 哀川:一緒だよ。会社がなかったら、おまえはなんなんだよ。ひとりで会社やれば? っていう話じゃない。だから、文句ばっかタラタラ言ってるヤツには、いつも言うんだ。「おまえ監督やって、映画1本つくってみろよ。大変だぜ?」って。誰もが簡単にできないことを監督はやってるんだから、役者は言うこと聞いときゃ、いいじゃん。「こうやってください」って言われた通りにやってれば役者として成り立つんだから、100倍楽だよ、監督より。それでお金もらえるんだから、ラッキーじゃん。 ――そう考えるとサラリーマンも使う側より、使われる側のほうが楽かもしれませんね。 哀川:絶対そうだと思うよ。言うこと聞いてりゃいいんだから。ただ、誰の言うこと聞くかは決めなさいよ、ってことだよ。  これまで、ブレずに己の信念を貫いて生きてきた人と思っていたが、意外にも、自分の立場に合わせた柔軟な生き方をしていた翔アニキ。しかし、その考え方のベースは、すべてがシンプルで1本芯が通っている。時代は変われど、本質は決して変わらぬ生き方。だからこそ、哀川翔は多くの人に「アニキ」と慕われるのだろう。 【哀川翔】 1961年、鹿児島県生まれ。一世風靡セピアの一員として「前略、道の上より」でレコードデビュー。TVドラマ「とんぼ(TBS連続ドラマ)」、映画「オルゴール」での新人らしからぬ存在感が認められ、一躍脚光を浴びる。その後、東映Vシネマで、たて続けに主演をつとめ、ヒットシリーズを連発。現在はドラマ、映画、またバラエティ番組でも独自の存在感を発揮し、活躍中。この9/23に、自身の人生訓が詰まった書籍、『ブレずに生きれば道は拓ける! 一翔両断!!』(KADOKAWA/角川マガジンズ)が発売 <取材・文/青柳直弥 撮影/SHIN ISHIKAWA(Sketch)>
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ブレずに生きれば道は拓ける! 一翔両断!!

“芸能界のアニキ”哀川翔の人生訓が詰まった一冊

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