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「現代の魔法使いって言われるの、嫌いじゃないです」謎のメディアアーティスト・落合陽一の素顔

 全身ヨウジヤマモトの黒服に身を包み、“現代の魔法使い”との異名を持つ男――。29歳で筑波大学の助教として「デジタルネイチャー」を研究しているほか、「メディアアーティスト」として世界中で数々の賞を受賞している落合陽一。風貌や経歴も異色ながら、「お湯なしカップラーメンを食べる」という期待を裏切らない“偏食ぶり”も話題に。彼を“現代の魔法使い”と言わしめる研究はいったいどんなものなのか。そして、その先にはどんな未来が待っているのか。ミステリアスすぎる奇才・落合陽一の素顔に迫った。 落合陽一――落合さんはさまざまなメディアに登場するとき“現代の魔法使い”と呼ばれることが多いようですが、そのきっかけは何なのでしょうか? 落合:2年前にある取材を受けたとき、「現代の魔法使い 落合陽一に聞く」みたいなタイトルがつけられたんです。それ以降、テレビなどでもそう紹介されるようになって、次第に定着していった感じです。 ――その愛称は気に入ってますか? 落合:嫌いじゃないです(笑)。 ――魔法使いは、研究内容から連想されたものなんでしょうか? 落合:ヨウジヤマモトを着てるんで見た目もあると思うんですけど、2年前の僕の研究テーマが「魔法っぽいものを作ろう」だったんですよ。 ――研究テーマが魔法で、黒い服に黒いシルクハットだと、まさにですね。落合さんは「デジタルネイチャー」の研究をする傍ら、「メディアアーティスト」を名乗っていますが、それらはどういうものですか? 落合:僕の代表的な作品に蝶をシャボン膜に映すものがあるんですが、南米原産のモルフォ蝶は表面がキラキラしていて、その光沢は既存のディスプレイでは表現できないんです。じゃあ、何かで表現できないかって考えて行きついたのがシャボン膜でした。シャボン膜を超音波を使って高速振動させると、反射分布が変わってキラキラするんです。光の反射を変えられるスクリーンという新しいメディアを作ることで、今までになかった映像表現を実現した。「メディアアート」ってそういうことです。 ――ある種、発明に近いですね。 落合:これまでの社会の評価基準でいえばそうかもしれない。発明家のエジソンも、僕の目線から見れば“アーティスト”です。蓄音機が発明された当時、人々はそれを魔法だと思ったはずで、それは当時の社会が未知なるものを発明としか評価できなかっただけ。社会が成熟化してきた今、メディア装置の発明自体が文化、アートとして捉えることができるようになったというのが僕の持論です。
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「新しいメディア装置を作るって、ワクワクしませんか?」
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