スポーツ

東京五輪ではスケボー界から「お騒がせアスリート」が誕生すると予想。その根拠は?

 少し、早すぎたのかもしれません。僕自身も勉強不足ですが、競技スポーツとしてのスケボーも準備不足なのではないか。そんな心配ばかりが募る観戦でした。ふと思い出すのは、バンクーバー五輪でのスノーボードをめぐる騒動のこと。日本代表として出場した國母和宏さんが「スノボ界ではOK」のカッコよさをそのまま押し進めたところ、世間から服装や態度に対してバッシングを浴びせられるという事例がありました。  同じように「スケボー界ではOK」と、世間で思っている五輪競技のあるべき姿とには、わりと大きなギャップがありそうです。  ノーミスが前提にならない戦いや、運営やジャッジの公平性など、競技スポーツとして見るとスケボーはかなり緩い。 「みんなカッコいいね!イェー!」  という盛り上がりのほうが重要なのであって、順位をつけること自体は二の次というスピリットが全面にあふれています。  失敗だらけでも、果敢に大技に挑戦するのも、競技スポーツとの根本的な精神性の違いだと思うのです。

大技に果敢に挑む精神は魅力だが……

 スノボでもそうでしたが、スケボーもアメリカを中心に行なわれる「X GAMES」などの大会のほうが存在感を持っている競技。4年に一度、五輪で人生を懸けた大勝負をする類のものではありません。メダル、メダルと騒ぎ「オリンピックらしさ」を求める世間一般の感覚と、選手たちの「スケボーなりのカッコよさ」を追求する想いは噛み合わないでしょう。  無理に「オリンピックらしさ」を押しつけても、お互いに不幸になるだけ。  2020年、スケボー界から誕生するであろう「お騒がせアスリート」を想って、早くも胸が痛みます。  そしてもうひとつ、揉めそうな豆知識を。冒頭で追加競技の名前を「ローラースポーツ(スケートボード)」と書いたのですが、何故こんな面倒臭い表記をするのかご存じでしょうか?  実は、五輪入りを目指して活動していたのはローラスケートやインラインスケートなどを中心とする「ローラースポーツ」の組織。ところが、提案側の想いとは裏腹に、ローラースケートは落選し、スケボーだけが採用されてしまったのです。  日本側で言うと、東京五輪への追加種目となったときに会見を取り仕切ったのは「日本ローラースポーツ連盟(JRSF)」でしたが、実際に日本でスケボーを実質的に統括しているのは「オブザーバーとして参加」していた「日本スケートボード協会(AJSA)」という別組織。活動の主体となったローラースポーツ側にすれば、「ローラースケート2種目とスケボー1種目で提案したつもりが、何でスケボーだけが2種目採用されるねん!」と喜びもチグハグなのではないでしょうか。  この大会の印象だけで言うのも何ですが、AJSA主導で五輪の運営ができるような気はしません。現在執り行っている大会の規模感や、その仕切り具合から言っても。せめてローラースポーツ界として一丸となりたいところですが、「ひさしを貸して母屋をとられた」状態のJRSFとまとまっていけるのか。チケットや空席の有無を心配している段階ではなく、まず当日ちゃんと運営をするというところに、大きなハードルがあるように思います。 ⇒【写真】はコチラ(ちなみに、この大会では優勝者に賞金15万円と副賞のパンツ)https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1207815

ちなみに、この大会では優勝者に賞金15万円と、副賞のパンツが配られました! 「オリンピックらしさ」どころか、「国内プロツアー」という感じも、そんなにない額でした……

 何と言うか、全体的な印象として「生まれたてのヒヨコ」でも見ているような感じの観戦でした。  4年に一度の世界一を争う「オリンピックらしさ」は薄いだろうということをご了承いただいたうえで、目新しいモノやアクシデントが見たい人には、オススメかもしれません。
1
2

※フモフモ編集長の「今から始める2020年東京五輪“観戦穴場競技”探訪」第1回~の全バックナンバーはこちら

自由すぎるオリンピック観戦術

スポーツイベントがあるごとに、世間をアッと言わせるコラムを書き続ける、スポーツ観戦ブログ『フモフモコラム』の中のひとによるオリンピック観戦本

テキスト アフェリエイト
新Cxenseレコメンドウィジェット
おすすめ記事
おすすめ記事
Cxense媒体横断誘導枠
余白
Pianoアノニマスアンケート