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開催国の禁煙事情から「屋外」が消えていた……!

 ’20年の東京五輪・パラリンピック開催に向けてタバコ規制の動きが強まっている。今月13日、厚生労働省は他人のたばこの煙を吸わされる「受動喫煙防止策」として病院、学校などは敷地内を全面禁煙として、飲食店は分煙以上とすることを義務付けた罰則を伴う対策案を公表した。  この対策案について塩崎厚労相は10月14日の記者会見で以下のように述べている。 「WHO(世界保健機関)の報告では、日本の受動喫煙防止対策は世界でも最低レベルと言われているわけであります。また、罰則を伴う受動喫煙防止対策をオリンピック開催国はみんなやっているわけです。そういう諸外国の常識を考えて、スモークフリー社会に向けて歴史的な第一歩を日本も踏み出さないといけないという認識で、厚生労働省案を取りまとめたということであります。4年先に東京オリンピック・パラリンピックがあり、その前年にラグビーワールドカップもあるわけなので、そのことを視野に入れて、それに間に合うようにみんなの頭も変わっていくようにするタイミングも念頭に置いて、私達だけが決断するだけではなくて、国民の皆様方も、常識を持って来られる大勢の方々が、日本で常識ではないことが行われているということがないようにしていくことが大事だと思います」  近年のオリンピック開催都市については、罰則付きの全面禁煙が通例となっているとのこと。飲食店での全面禁煙が徹底していない日本は、喫煙天国の野放し状態ということを強調。開催地の東京都では、現在、急ピッチで「屋内完全禁煙」に向けての条例・法整備が進められている。しかし、あるベテラン都議は以下のように語る。 「そもそも、東京のタバコ規制は諸外国のように屋内から規制するのではなく、路上喫煙防止条例に代表されるように屋外から規制してきたという経緯があります。もちろん屋内についても、各自治体、事業者の自主的な取り組みをサポートし続けてきました」  実際、東京都が調査した「平成25年度 飲食店の受動喫煙防止に向けた取組状況調査」を見ると、全面禁煙を実施した飲食店は、平成20年度の8.0%から21.3%、分煙を実施した飲食店は、14.6%から21.1%に上昇している。

厚労省資料をもとに編集部作成。「屋外」の項目を付け加えると、屋内で完全禁煙が実施されれば、東京でタバコを吸う場所がなくなることは明白だ

 また、過去のオリンピック開催地では公共施設、飲食店の全面禁煙が実施されていることについては、厚労省の発表資料に基づいて作成した上図を見ればおわかりのとおりだが、屋外での喫煙についての項目を追加したところ、どの国も屋外ではスモーキングフリーであることがわかる。屋外の項目は編集部が追加したものであるが、そもそも、厚労省の発表資料にそれが無いのは、「開催国ではそれほど対策が進んでないように見えるので体裁が悪い」と判断しての意図的な削除と読み取るのは邪知であろうか……。  いずれにしろ2020年の東京オリンピックに向けて、屋内の全面禁煙を推進するか否かは慎重な議論が望まれるところ。強引に法整備だけを進めて、「屋内でも屋外でも吸えない国」になってしまうのは、個人の趣味嗜好にすぎないタバコ迫害の流れに拍車をかけることを危惧するばかりだ。〈取材・文/日刊SPA!取材班〉
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