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風俗嬢への説教は万国共通!?――鈴木涼美「おじさんメモリアル」

「AV女優」の社会学 なぜ彼女たちは自らを饒舌に語るのか』(青土社)、『身体を売ったらサヨウナラ 夜のオネエサンの愛と幸福論』(幻冬舎)などの著作で「性を商品化する」女性たちの内面を活写し注目されている文筆家の鈴木涼美が、「おじさん」をテーマに日刊SPA!で連載する「おじさんメモリアル」第12回! 風俗嬢への説教は万国共通!?――鈴木涼美【第12回 説教オジサン、国境を超える】  風俗嬢のひとりごと的なブログやマンガやエッセイに度々登場する、プレイしておきながら「きみ、こんなことしてていいの?」と説教たれてくるオジサン。ワタクシ鈴木が若いころには、未だキャバクラ嬢の人権も今よりやや弱かったため、キャバクラのお客さんにもおりました。「こういう仕事って長く続けるのはよくないと思うよ?」「ここで稼げるオカネよりも、もっとやらなくてはならない大切なことがあるのでは?」「簡単にオカネを手に入れるのはよくないよ」。  岡崎京子先生の漫画『pink』の冒頭部分でも出てきますね。いかにもそんなカンジの腹の出たちょっと禿げかけたしおれた日本男子が「きみにこんなこと言っても」的なイラッとする前置きの上で説教する場面が。匿名風俗嬢のブログなどに登場するとあまりにステレオタイプ過ぎてネタか?と思ってしまうほどみんながみんな紋切り型の台詞を吐く。なんか私たちのあずかり知らないところでマニュアル本でも売ってるんですかね? プレイ後の礼節みたいな項目で、「親身になっているふりをしてちょっと偉そうに説教をしましょう」「そうすると、オンナを買ってる自分の自尊心への揺さぶりが心なしか溶けます。社会道徳や女性の人権への罪悪感も軽くなります」とか?  別にその説教おじさんを否定するのが私の本意ではありません。これだけ「アルアル」的な存在だと、もはやそのコトバは別に風俗嬢を脅かしたり導いたりする威力はゼロに近いわけだから、別に存在自体にそれほど害はないから、それでおじさんが救われるなら、聞くに堪えない説教も、甘んじて聞いてあげようという心優しいキャバ嬢風俗嬢が多いでしょうし、ストーカー化したり暴力ふるったりするリアル有害客よりは流せる程度の存在でありましょう。そんなんで心の自己洗浄をしてから帰ってくれるなら、オンナの側からしても心置きなく万札をもらえるっていうものです。  しかし、私の大学の後輩であるナナの同僚の体験を聞いた時には、私も驚き笑い視界が広がった気がしました。 ⇒この続きは連載をまとめた単行本「おじさんメモリアル」で 【鈴木涼美(すずき・すずみ)】 83年、東京都生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒。09年、東京大学大学院学際情報学府修士課程修了。専攻は社会学。「身体を売ったらサヨウナラ 夜のオネエサンの愛と幸福論」(幻冬舎)発売中。現在は日経新聞を退社し、執筆業を中心に活動。幻冬舎plusにて「愛と子宮が混乱中 夜のオネエサンの母娘論」を連載中。LINEブログはhttp://lineblog.me/suzukisuzumi/ (タイトルイラスト/ただりえこ 撮影/福本正洋)
’83年、東京都生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒。東京大学大学院学際情報学府修士課程修了。専攻は社会学。キャバクラ勤務、AV出演、日本経済新聞社記者などを経て文筆業へ。恋愛やセックスにまつわるエッセイから時事批評まで幅広く執筆。著書に『「AV女優」の社会学』(青土社)、『おじさんメモリアル』(扶桑社)など。最新刊『可愛くってずるくっていじわるな妹になりたい』(発行・東京ニュース通信社、発売・講談社)が発売中

おじさんメモリアル

哀しき男たちの欲望とニッポンの20年。巻末に高橋源一郎氏との対談を収録

おじさんメモリアル

著者が出会った哀しき男たちの欲望とニッポンの20年
日刊SPA!の連載を単行本化


「AV女優」の社会学 なぜ彼女たちは饒舌に自らを語るのか

慶応大学環境情報学部卒。東京大学大学院学際情報学府修了。本書がデビュー作。

身体を売ったらサヨウナラ 夜のオネエサンの愛と幸福論

「お乳は生きるための筋肉」と語る夜のおねえさんの超恋愛論

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