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ホラー、スプラッター、エログロで雪崩のような退席…「シッチェス映画祭」のエグさ

近親相姦、カニバリズム、死姦……

 スクリーン全面の性器の大写し程度では検閲のないスペインに住んでいる私は驚かなかったが、近親相姦、カニバリズム、死姦……と続いて席から腰が浮きかけた。  性描写も凄かったが、何より不衛生感が強烈だった。登場人物は廃墟の住人であり、体液だか吐しゃ物だか腐敗物だか汚物だかにまみれた体で、禁断の行為に及ぶのである。  「映画祭史上最多」という雪崩のような途中退席を促したのは、おそらく倫理的な嫌悪感ではなく、身体的な嫌悪感ではなかったか。私は平気だったが、あの後お昼ご飯が食べられない人は大勢いただろう、と想像する。  加えて、スペイン人の中には宗教的な冒涜に対する拒否感もあったかもしれない。主人公は悪魔的な扮装で生まれ変わり、クライマックスで彼が開く狂気の饗宴は、キリストの最後の晩餐を想わせるものだったからだ。  この『テネモス・ラ・カルネ』を日本で上映するとなるとR18+でボカシだらけの映像となるのだろう。だけど、前述の『セルビアン・フィルム』が公開されDVDで発売されている日本であるから、可能性はゼロではない。怖いもの見たさでシッチェス映画祭のダークな一面を知るには、最適の作品である。 文/木村浩嗣(ナノ・アソシエーション)
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