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輸入車ディーラーのセールストークに見る 「営業テクとナンパテクは一緒」理論

2:一部肯定→ディス「レクサスもいいですよね。ただ…」

 その次に、ディーラーから「輸入車がお好きなんですか?」と聞かれたので、「好きですけど、レクサスもいいなと思ってます」と答えたところ、「レクサスもいいですよね」と自分の担当以外の車を褒めだしたという。

※レクサスHPより

「そこからはひたすらレクサスを褒める褒める(笑)。『クルマ好きな人にはすぐわかりますが、車体剛性、空力特性、サスペンション…どれもクオリティが素晴らしいのに、故障もない。素晴らしいクルマです。ただひとつだけ、個人的な好みなんですが、エンジン音だけがちょっと好きじゃないんですよね』」  自分の担当ブランドと競合する製品を褒めた後、ひとつだけ欠点を言う。これはナンパ師のコミュニケーションの基本、「一部肯定→ディス」の流れなんだとか。 「たとえば、女のコと二人で飲んでいる時に、彼氏や元カレの話をされても、最初はすべて肯定してあげるんです。そうやって信頼関係ができたところで、向こうがグチリ始めた少し後に、一般論でディスる。違和感なくライバルを落とす作戦です」(山本氏)  いろいろと向こうのペースで話が進んでいるので、こんどは山本氏から「いまはどんなクルマに乗ってるんですか?」と質問。このとき、既に山本氏は営業マンに対して心を開いてしまっている状態だ。  すると、営業マンは過去にポルシェのカイエンに乗っていたときの話を語り始めた。 「実は昔、友人に譲ってもらったポルシェのカイエンに乗ってたんですけど、去年売っちゃいました。乗ってて気持ちいいんですよ。ただ、故障することが多くて、高速道路で止まっちゃったんですよ。そのときは修理に200万円かかっちゃって」(営業マン)

※ポルシェHPより

 このエピソードも、自分の担当ブランドの競合を自然にディスるテクニックだという。 「一般論か、個人的な理由といった偏りが見えない批判です。実際に試したことがあるという説得力も強い。Xの価格帯と競合することの多い、レクサスやポルシェといったブランドを自然に落とすルーティーンが構築されているのでしょう」(山本氏)
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先に心配事項を話してしまう「終電理論」
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