「セックスしよう?」草食批判の弊害、鈴木保奈美オジサンにご注意!

「AV女優」の社会学 なぜ彼女たちは自らを饒舌に語るのか』(青土社)、『身体を売ったらサヨウナラ 夜のオネエサンの愛と幸福論』(幻冬舎)などの著作で「性を商品化する」女性たちの内面を活写し注目されている文筆家の鈴木涼美が、「おじさん」をテーマに連載する「おじさんメモリアル」第14回!

【第14回 草食批判の弊害、鈴木保奈美オジサンにご注意!】

 オンナの口から出てくるカレシの愚痴やらノロケ話やらというのは往々にして退屈なものだ。どれも超似てるから。保守的で束縛が激しくてえばってて甘えててバカ。女性社員によるハゲた上司の悪口もつまらない。これもまたどれも超似ているのだ。懐古的で単眼的で偏見まみれでバカ。ただし、これが旦那さんとの喧嘩報告になると面白くて、料理用オタマジャクシの形の好みで3日間戦争したとか、炊飯器の置き場所で揉めて炊飯器が壊れたとか、旦那に興信所をつけられたとか、結構バラエティに富んでいる。

 これと似たような差異がキャバクラ嬢と風俗嬢の間にもあって、キャバクラ嬢の客の悪口というのは大して面白くない。パターン化されていて、どこにも似たような嫌な客がいてどこにもハゲがいる。対して、風俗嬢の変な客報告というのは周囲を爆笑の渦に巻き込むものが時々ある。似たようなことをするアルアル客も多いのだが、それでも結構十人十色に小ネタがきいている。ドアを開けたら逆立ちしていた人、実は俺……的暴露を毎回する人、なぜか風俗嬢のエロ動画ではなく自分の顔の動画を撮ってくれと頼んでくる人。だから私は、オトコは会社とキャバクラ、それから彼女の前では人間の形を保っていて、家庭と風俗ではいびつに変形するとみている。

次ページ風俗嬢たちの客の悪口

「AV女優」の社会学 なぜ彼女たちは饒舌に自らを語るのか

慶応大学環境情報学部卒。東京大学大学院学際情報学府修了。本書がデビュー作。

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