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恋人に何度も首を絞められた男が知った真実の愛――爪切男のタクシー×ハンター【第十二話】

「気づいたら首絞めちゃってた……ごめんなさい」 「こっちこそ、殴ってごめんね」 「全然いい……でもこんなんじゃ断薬できないね。私、また薬飲むね」 「……」 「本当にごめんなさい……」 「いいよ、断薬続けようよ」 「……え? でも……また迷惑かけちゃうかもだよ……」 「そのたびに殴らせてもらうけど、それでもいいなら一緒に頑張ろう」 「……いいの? ありがとう!!」 「とりあえず、包丁とかハサミとかの刃物は捨てようか、危ないし」 「……そうだね」 「包丁って何曜日に捨てればいいんだっけ?」 その日から、愛する彼女が、たまに首を絞めて起こしてくれる生活が始まった。理由はわからないが、断薬からくる禁断症状で、私の首を絞めたくて仕方ない衝動に駆られるのだそうだ。 出会った時に唾を売っていた女が、自分の病気と正面から闘おうとしているのだ。愛する女の闘いを応援してあげるのが男の務めではないか。首絞めぐらいは耐えてみせる。強くそう思っていたのだが、月水金の週三ペースで首を絞められる生活はなかなかヘビーなもので、私の精神もやられそうになった。このままではいけない。発想を逆転させ、首を絞められることに、何か楽しみを見出さねばいけない。
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首を絞められた回数に応じて…
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死にたい夜にかぎって

もの悲しくもユーモア溢れる文体で実体験を綴る“野良の偉才”、己の辱を晒してついにデビュー!

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