ニュース

【骨髄バンク】腕から採血で、ドナー協力が安全・身近に

ドナーカード

ドナー登録を希望するひとは献血ルームなどや保健所などの登録窓口へ(一部、扱っていない場所もあります)。詳しくは、骨髄バンクホームページ http://www.jmdp.or.jp

「骨髄バンクのドナーって提供者の身体にかかる負担も大きいんでしょう?」「全身麻酔は危険性が高そうでしたくない」「長期間の入院は仕事に支障があるからできない」……。  日本骨髄バンクのドナー登録者数が昨年末、40万人に到達しました。’92年のドナー登録受付開始から20年、移植例数は累計13713例に。しかし、骨髄移植が必要な患者は年間2000人以上。昨年でいうと2168人の国内患者のうち約95%は1人以上のドナー候補者が見つかっていますが、実際に移植を受けることができた患者は55.7%にとどまり、まだまだ多くの協力が必要なのが現状です。  とはいうものの、骨髄移植に関して冒頭のような不安を抱いている人も多いのでは。記者も幼いころに当時19歳だった従姉を再生不良性貧血で亡くしており、「いずれは登録を、そして協力したい」と思いつつ、なかなか踏み出す勇気がありませんでした。しかし先日、献血協力をした際に埼玉県骨髄データセンターの説明を伺う機会があり、登録を済ませました。そこでわかったのは、上記のような心配はほとんどする必要がないということです。  採取の方法は、以前から行われている「骨髄採取」に加え、2010年から「末梢血幹細胞採取」という安全度の高い方法が採られるようになりました。その違いは…… 【骨髄採取】 ●採取する場所 骨盤を形成する大きな骨=腸骨(腰の骨)から注射器で採取。手術室でうつぶせになった状態で、骨盤の背中側、皮膚のうえから専用の針を数か所刺して吸引する。採取する量は、通常400~1200mlで患者の体重に応じて決まる。多くは全身麻酔下で行われ、採取時間は1~3時間。 ●採取後の経過 ドナーは提供後、通常2~3日で退院し、多くのドナーはすぐに日常生活に戻れる。退院後はコーディネーターが電話で健康状態のフォローアップを続ける。※採取により一時的に減った骨髄液は速やかに元に戻る。 ●採取による健康への影響 「痛み」麻酔からさめた後、採取箇所が痛む場合がある。程度が個人差があり、1~7日間残った例もある。 「発熱などの諸症状」採取後、37~38度の発熱やのどの痛み、吐き気、全身のだるさといった症状が出ることもあるが、通常は1~2日で軽快する。 「採取のあと」体質によっては、皮膚に少しあとが残る場合もある。通常は3~6か月で針のあとは消える。 【末梢血幹細胞採取】 ●採取する場所 採取前の3~4日間、白血球を増やす薬(G-CSF)を注射し、4日目または5日目に造血幹細胞が増えたところで、腕に針を刺し、血液成分を分離する機器を使い造血幹細胞を採取し、残りの血液は戻す。所要時間は約3~4時間。 ●採取後の経過 原則1泊2日で退院し、多くのドナーはすぐに日常生活に戻れる。退院後はコーディネーターが電話で健康状態のフォローアップを続ける。 ●採取による健康への影響 「注射による諸症状」一過性のものとして骨痛(腰痛、関節痛等)、倦怠感、頭痛、胸痛、不眠、食欲不振、悪心、嘔吐、動悸、発疹など。痛みは多くの場合、鎮痛剤で消失する。 「採取中の諸症状」手足の痺れは器械を循環する血液が凝固するのを防ぐ抗凝固剤によるもので、多くの場合、カルシウム剤を投与することで改善する。 「採取のあと」血小板が減少することがあるが、その際は適切な処置を行う。針を刺したところが青くなることがあるが、通常は1~3週間で消える。 【骨髄提供者の声】はこちら⇒https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=138422 骨髄提供者の声※日本赤十字社アンケート http://www.jmdp.or.jp/reg/chance/flash/index.html  このように現在では自分の生活や身体にあわせ、選択肢は2つになりました。末梢血幹細胞採取では、全身麻酔もせず、入院期間も原則1泊2日で済みます。知らないがゆえになんとなく抱いていた心配は、ほとんどする必要はないことがわかりました。ドナー登録は、わずか2mlの採血から。命をつなぐチャンスが少しでも広がることを願いたいと思います。 ●コミュニティサイト ドナーズネット http://www.donorsnet.jp ●骨髄バンクホームページ http://www.jmdp.or.jp 文/おはつ
おすすめ記事
ハッシュタグ