特急停車祝いもむなしく、乗降できなかった能生駅

◆珍しい駅編 せっかくはるばる乗車するも思わず誰もが困惑してしまう妙ちくりんな駅 【CASE3】 特急停車祝いもむなしく、乗降できなかった能生駅  北陸本線の能生(のう)駅は、新潟県にある小さな港町の駅。ここへ’61年のダイヤ改正で、大阪~青森・上野間を結ぶ特急「白鳥」が運転停車 することになった。町の人間は「特急が止まる!」と大喜び……だったはずが?  実は、運転停車とは、列車の行き違いや運転士交代といった、運行上の理由で行われる停車のこと。つまり、停車したからといって、乗客用のドアは開かない。そのため、一般の時刻表において能生駅通過と表示されな ければならないのだが、ミスにより能生駅に停車するかのような表示が載ってしまっていたのだ。  事情を知らない能生町内では、「急行も通過する我が町に特急が止まるなんて!」と住民たちがこぞって勘違い。瞬く間に噂は広がった。  そしてダイヤ改正当日、記念すべき特急「白鳥」を歓迎しようと、大勢の人々が能生駅に集結祝賀ムードに染まり、特急を今や遅しと待つ能生町民。そしていよいよ「白鳥」が停車した。  ……が、当然ながら、乗車用のドアが開かれることはなく、「白鳥」はそのまま町民を無視するかのように勢いよく発車。列車のお尻だけを見つめながらただただ唖然とする能生町民。これは「能生騒動」と呼ばれ、新聞記事にもなった。 ― 日本全国[珍駅/泣駅]途中下車のススメ【3】 ―
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