超お手軽で万人が楽しめる! 知られざるパラリンピック競技「ボッチャ」の魅力

~今から始める2020年東京五輪“観戦穴場競技”探訪 第56回~ ※前回の話…スポーツ好きブロガーのフモフモ編集長が、東京五輪でチケットが買えそうな穴場競技探訪へと出かけました。今回のターゲットは「ボッチャ」。その謎に満ちたネーミングだけでも穴場っぽさがぷんぷんするパラリンピック競技が今回のターゲット。カーリングにも似た「ボッチャ」は選手間に奥深い駆け引きなどもあって魅力も十分。生観戦で手ごたえを感じたフモフモ編集長が最終的に下した評価は?

ボッチャの基本ルール

 選手たちは身体的な不自由さによってクラスわけされ、同じくらいの不自由さの選手同士で戦うようになっています。コートはバドミントンコートほどの大きさで、個人戦から3対3で戦う団体戦まで行われます。特徴的なのは個人戦であっても、団体戦であっても、各チームが持つボールは6つであるということ。つまり、1対1の個人戦ならそれぞれの選手が6つのボールを投げますし、3対3の団体戦ならひとりの選手が持つボールは2つになるのです。  各選手の位置はあらかじめコートサイドの特定の区域に定められています。左から1番・3番・5番ボックスに赤チーム、2番・4番・6番ボックスに青チームといった具合。1番のボックスに入る選手は、ずっと1番から投げますし、4番のボックスに入る選手はずっと4番から投げます。ですので、ジャックボールを投じる先攻チームは、自分たちに近いサイドに投げるのがセオリー。

左寄りのボックスに入っている赤チームは自分たちに近いサイドにジャックボールを置く

どんどんボールを投げていき、ジャックボールに近いほうが勝ち

この配置だと、ジャックボールの周辺に青ボールよりも近い赤ボールが2つあるので、赤が2点を得ることになる

相手の特定の選手が、「オーバースローでしか投げられない(短い距離で止められない)」などの不自由を抱えている場合、ワザと近いところにジャックボールを置く戦略も

 一番不自由さが重たい選手たちが出場するクラスでは、手足の自由がきかず、ボールを持つこともままならないケースも見られます。それでも、そのときには介助のアシスタントがついて、選手の指示に沿ってボールを設置したり、用具を動かしたりすることで、プレイできる環境を整えるように「最初から」なっています。  ゴールボールだと身体が動かないとプレーすること自体が難しかったり、ウィルチェアーラグビーだと車イスを漕げないと参加が難しかったりする「パラ競技のなかにさらに残る身体的な制限」というものを、ボッチャではさらに減らしている。何もできなくてもボッチャならできるんじゃないかと思える、そんな競技です。

ボールを投げられない選手は、ランプと呼ばれるボールを転がして投げる台を使う

アシスタントはコートには背を向け、選手の指示だけに沿って用具を動かしたりする

首しか動かせないようなケースでも、額に取り付けた棒(リリーサー)で指示を出し、棒でボールを押し出す

 そういう仕組みなので、観衆にも少し気遣いが必要だなという場面もありました。アシスタントがつくクラスでは、アシスタントにゲーム状況が伝わったらアンフェアになります。選手がまったく見当違いのほうに投げようとしていても、それに従って準備をするのが筋ですから。そのため、競技中に観衆が「もうちょっと左!」とか「今よりちょっと短く!」といった声を上げたら、それがヒントになってしまうわけです。  会場に流れていた実況・解説もその点に配慮して、今の投擲がいい投擲だったか、どのあたりに止まったのかすらも、なるべく言わないようにしていました。これは2020年に向けて、いち観客としてもよい学びになりました。ついつい言っちゃいそうですからね。「志村、うしろ!」的なことを。
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