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地方の元ヤン・年収300万でも家計が苦しい理由。“絆”が出費のもとに…

日本の相対的貧困率は15.6%――。この数値は本当に真実を語っているのか。東京と地方では年収や生活水準が異なるにもかかわらず、これまで一緒くたに語られてきた貧困問題。東京型貧困と地方型貧困に分けて考えたとき、日本のリアルが見えてきた! 今回は、独特のコミュニティに苦しむ地方型貧困の実態に迫ってみた
田舎

※写真はイメージです(以下、同)

「嫁を働かせるのは恥」共働きを否定され家計難が続く

――藤田賢一郎さん(仮名・35歳/既婚)・建設作業員・年収300万円  ヤンキーの習慣に従って20歳そこそこで結婚。現在は14歳から7歳までの3男1女に恵まれた愛媛県在住の建設作業員・藤田賢一郎さんだが、その暮らし向きは楽ではない。月収は手取り22万円ながら、5年前に1500万円で中古マンションを購入。さらに地方での生活に欠かせない自動車2台分のローンと車両維持費で月に9万5000円が飛んでいく。 「ただでさえ苦しいのに、田舎ヤンキー特有の人付き合いも家計を圧迫しています。秋に地方祭があり、その準備を1年がかりでやる。準備で人が集まるたびに打ち上げが行われ、祭りが近づく夏頃には毎日飲み会。出費が大変なんですが、昔ヤンチャしてたときの先輩に呼ばれたら、行くしかないですよ。ほかにもテレビを買うときも、ネットで買ったほうが安いのはわかってるけど後輩が継いでる電器店で買ってあげたり、失業したヤツがいたら仕事見つかるまでメシ食わせたり。絆を大切にしてるんで、それくらいはしてあげないと」  また、成長した子供たちの教育費も膨らみ始めているが、子供の学校用品などは友人の子供のお古をもらったり、メルカリなどで中古品を探すなどしてやりくりしているという。 田舎 ちなみに、同じ年の妻は専業主婦だという。共働きになれば、楽になるのではないだろうか。 「妻にパートに出てもらえたら確かに楽になるんですが、ここらの年寄りにはまだ『嫁を働かせるのは恥』っていう意識が強く、うちの両親も妻の両親も賛成しないんです。それに、俺と同じく高校中退のうちの妻が働けるようなところは、近くにはスーパーやコンビニくらいしかないので、かなり遠出しないかぎり、こっそり働くっていうのも難しいですね」  とかく人間関係のコストが家計を圧迫するというのは、地方型貧困の一つの特徴と言えそうだ。 ― 東京vs地方 貧困のリアル ―
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