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それでもタワマンに住みたい? 修繕費地獄に住民から悲鳴

―[タワマンの悲劇]―
首都圏では近年、常にどこかのエリアでタワマンが建っており、湾岸エリアにいたっては、どこを見ても大規模な建設現場という状況だ。しかし、今、タワマンの供給過剰が叫ばれ、中国人投資家も投げ売りし始めたという噂も聞こえてくる。一方、住人たちも購入前は予測だにできなかった数々の問題に直面していた――悲劇の現場を徹底リポート!
タワマンの悲劇

プールなど豪華な設備を備えるタワマンも多いが、特に温水設備などは維持費が高額になるという(写真はイメージです)© ShutterStock

プールの温水をやめ、ラウンジも有料制に

「タワマンは、そのスケールメリットによって1戸当たりのコストが抑えられます」  マンションデベロッパー営業担当者がよく口にするセールストークを全否定するのは、不動産ソリューションビジネスを展開するオラガ総研代表の牧野知弘氏だ。 「タワマンには、規模が大きいからこそかさむコストがいくつもある。例えばエレベーター。数十階分の距離を高速移動するタワマン用のそれは高性能なものが採用されており、1基あたり10階程度のマンションのエレベーターの倍以上の価格で、耐用年数も30年です。また、震災対策で非常用発電機を設置するタワマンが多いが、この1台の価格も数千万~1億円はする。しかも一度も出番がなくても15年で交換する必要があります」  住宅ジャーナリストの榊淳司氏もこう付け加える。 「十数年ごとの大規模修繕も、タワマンは一戸当たり250万円と、通常マンションの2倍以上の費用がかかるとみられている。足場の組めない物件の外壁改修は、屋上からゴンドラを吊って作業することになる。雨や風の強い日は作業ができず、工期や工費もやってみなければわからない。そもそも工事の担い手がいないかもしれない。3年ほど前、東京の湾岸エリアのタワマンの管理組合が大規模修繕の見積もりを大手ゼネコン5社に依頼したところ、全社辞退となったこともある。ゼネコンにとって20億円程度の案件など取るに足らず、不確実性が多い大規模修繕はリスクが多いのでしょう」  ちなみに大規模修繕の費用を負担するのは住人自身だ。管理組合は住人から毎月、修繕積立金を徴収しているが、積立額が十分でないタワマンも多いようだ。国交省は、20階建て以上のタワマンに必要な修繕積立金の目安として、「月206円/㎡」という指針を策定している。しかし『日経新聞』(3月26日付)によれば、全国900棟のタワマンのうち8割弱が未達で、目安の半分に達していない物件も1割あったという。
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修繕積立金の値上げも難しく…
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