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「ゆるブラック企業」で給料もスキルも上がらず15年、でも辞めない男の絶望

 サラリーマンの仲間入りをしてから気がつけば30代。社内でもそれなりのポジションを任され、スキルもそれなりに身についた……いや、待てよ。責任やサービス残業が増える一方で、給与は横ばい。これといって新たなスキルを覚えたわけでもない。よくよく振り返ってみれば、入社2〜3年で仕事をこなせるようになった頃からほとんど変わっていないではないか!  とはいえ、会社を辞めたいわけではない。年収は高くもないが、社内でも評価され、なんとなく過ごしていれば生活できてしまうからだ。ブラックでもなく、ホワイトでもない。そんな「ゆるブラック企業」で働いている人は多いだろう。  ゆるブラック企業

スキルは上がらず給与も横ばい、でも辞めたいわけじゃない…

 東京都内の大手通信メーカーの孫会社に勤める堂本さん(30代・仮名)は、社員歴が15年を超えた立派なベテランであるにも関わらず、月給は新卒時からわずかに2万円増えただけ。それどころかボーナスは新卒時よりも減って、残業の増減などによっては、現在の給与が新卒入社時を下回ることもある。 「肩書だけは“課長”ですが、やっていることと言えば部下への仕事の割り振りが主で、人が足りないときには現場に応援へ行き、自らプログラムも書きます。給与はほとんど上がらず、責任ばかりが大きくなって……」  システムエンジニアの堂本さん。難解なコンピューター言語を複数操ることができる「技術者」でもあるが、「日本においては技術者に支払われる給与は諸外国に比べても低く、社会的にも弱い立場にある」と嘆く。 「同じシステムエンジニアでも海外で働く友人は私の2倍から3倍の給与もらっていると聞きました。決して誰でもできる仕事ではないのですが、ものすごく立場が低く、どこへ行っても奴隷のように働かされますよね。だからか離職率も高く、常に人が足りない状態。新たな技術の習得のために時間をとれるはずもなく、毎日毎日同じような作業をやって、足りない人を何とか回して……正直もう疲れました」
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「ゆるブラック企業」でルーティンをこなす毎日
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