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自衛隊の基地は一般人の侵入さえ制御できない。 もしテロリストだったら…

「自衛隊ができない50のこと 44」  軍事基地の周辺は普通、銃を持った警備兵が警戒しているものです。中国の基地まわりでは周辺でも軍事施設が見渡せる場所でカメラを持ってうろうろしていると注意されたり、カメラを取られたり、スパイと疑われれば逮捕される危険さえあります。しかし、自衛隊の場合は憲法上では「軍」ではないと規定されているせいか、その基地警備は素人目に見てもこれでいいのかと不安になることが多々あります。
航空自衛隊

航空自衛隊 公式ツイッターより

 もちろん、弾薬庫や航空基地等、特別な警戒をしている重要拠点もあるのでしょうが、武装した兵士が基地の内部を見回っている姿を見ることはほとんどありません。たいていは門番も武装していない場合が多いようです。逆に「銃器で武装すると市民が不安がるのでやめてほしい」と申し入れる自治体もあるくらいです。  基地周辺の土地もたいてい自由に売買できます。これでは、我が国の領土領海に野心を持っている外国人が基地周辺の土地を買って監視拠点とすることも可能ではないかと心配してしまいます。我が国は、軍事拠点を守るより、自由な土地取引を重視する国なのです。これも自衛隊基地を軍事拠点と捉えず、行政施設の一つと考えてきた「平和ボケ」の結果です。

自衛隊の基地の多くは市街地に接している

 憲法上、自衛隊は「軍」ではないため、「軍事基地」として周辺の土地売買が制限されたり、基地の周辺に高い建物を建てたり、その周辺を自由に撮影し見渡すことに対する規制や制限を作ってきませんでした。戦後、旧日本軍の所有していた軍用地の多くは民間に払い下げられました。それらの軍用地は立地条件がいいため、払い下げられた土地は商業地や住宅地となり、たくさんの人が住み、地方の中でも発展していきました。さらに、自衛隊施設周辺には自衛官とその家族が居住するので町ができ、その土地の幹線道路や商業地が自衛隊の基地・駐屯地等に面して発展してしまった例も珍しくありません。  基地があっても周辺の開発や居住を制限する法律や制度があればこんなことにならなかったのでしょうが、もはや後の祭りです。

航空自衛隊入間基地祭で起こったこと

 軍事拠点としてはありえないことなのですが、自衛隊の基地の中を一般市民が利用する鉄道が通っている場所があります。航空自衛隊の入間基地です。鉄道が基地の中を通っているために、線路にはこの標識が立っています。 立ち入りは厳禁「この先は航空自衛隊入間基地です。許可された鉄道員以外の立ち入りは厳禁です。」と書かれています。しかし、柵の先には鉄道があり、線路伝いに簡単に基地に入れてしまいます。看板には「この警告に反して入間基地内に入った場合、入間基地の隊員が出動し身柄を確保されます」と書かれています。  しかし、実際に「許可されない人」が基地内に立ち入った場合、自衛隊はその身柄を拘束できるのでしょうか? 電車の線路と基地の間には柵や生垣がありますが、武装している歩哨が立っているわけではありません。この不安はすぐに的中しました。テロなどではありませんが、「立ち入ってはいけない場所への許可されない立ち入りを、自衛隊は止めることができない」と実証される出来事が入間基地航空祭の時に起こっていました。航空ショーを見ようと急ぐ多くの人々が自衛隊の制止を振り切り、通行指定されていない場所を通り、エプロンに向かっていたのです。  基地航空祭ではたくさんの航空機が飛行展示されます。飛行機をエプロン近くで見たい観客はたくさんいます。入間基地祭は毎年20万人以上の人が集まる人気イベントです。そのような多くの人が集まるイベント時に、通常時はこの看板一枚で止めていた基地への侵入を食い止められるわけがありません。たかがイベント時のことと見過ごされてしまうかもしれませんが、押し寄せる観客にもはや自衛隊の制止など効かない状況でした。  イベント時のルール違反は即座に重大な問題とは言えませんが、「自衛隊の警備網が簡単に突破できてしまう」ことは深刻な問題です。「ルールを守らない観客ですら制止できない基地が、武装したテロリストを止めることができるのか」……。  ここが重要なポイントです。  そういう視点からこの出来事を見ると恐ろしくなります。とても心配です。航空機テロや航空機事故は甚大な被害をもたらします。だからこそ、民間空港の警備でも航空機格納庫やエプロンなどに人が近づけないような厳重なチェック体制があるのです。
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基地の中を電車が走るほどに基地防衛の意識が低い
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